万座できのこ狩り



今日は恒例のトキワ松学園の先生方とネイチャー木村の万座自然探検会。昨年同様、初日はきのこ狩りを楽しむのだ。

まずは万座高原神社でお参り。いいきのこが撮れますように…。

しかしまず最初の群生はクサウラベニタケ(イッポンシメジ科イッポンシメジ属)。猛毒。食用のウラベニホテイシメジと間違われ、中毒することがあるようだ。

進むとヒレハリソウ(コーンフリー)(ムラサキ科ヒレハリソウ属)が食べられたような跡があった。きっとカモシカの仕業だろう。


  


森に入ると、昨日までの大嵐による落ち葉が凄い。これだと、せっかく発生した美味いきのこが隠れて見えないかも知れん。うーん不安だ。

トヨタケ(ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属)があった。食用になるが、酒類を飲む前後に食べると中毒するらしい。今日はパスする。

ふと上を見上げると、いい房のヤマブドウが。久しぶりに味見したヤマブドウは、思ってたより甘かった。


  


左:コベニヤマタケ(ヌメリガサ科アカヤマタケ属)。食不明。直生状にやや垂生したひだで判定。

中:ズキンタケ(ズキンタケ科ズキンタケ属)と思われる。ズキンタケは食としている図鑑もある。酢の物や辛し和えに最適とのこと。また図鑑ではもっと色鮮やかな緑色のものが多い。色が悪いのが気になる。

右:中途半端に写真だけ撮ってきた不明きのこ。テングタケ科のものだと思う。


  


左、中:シロシメジ(キシメジ科キシメジ属)と判定。食用になるが強い苦味があるという。湿っているときの傘の粘性、ひだは白色のち汚褐色のしみを生じる。菌輪もつくるようだ。しかしまとまった量がないので採らなかった。

右:チャナメツムタケ(モエギタケ科スギタケ属)は食用になり、おいしい。これは、今日のつまみには最適のきのこだ。ここで少しチャナムツムタケ探しをした。


  


左:ハエトリシメジ(キシメジ科キシメジ属)だろう。食用になりおいしいが、過食すると悪酔い状態になるという。

中:ハエトリシメジに似ているがアイシメジ(キシメジ科キシメジ属)ではないか?中央が突出が弱いように見える。アイシメジは食用だが苦味がある。

右:クリタケ(モエギタケ科クリタケ属)が生えてきた。食用になりおいしい。クリタケは晩秋のきのこ。このきのこが出れは、もうきのこ狩りはおしまいの時期。


  


ヌメリスギタケモドキ(モエギタケ科スギタケ属)は今日、数では一番多く見たきのこ。そんなに好きなきのこではないのだが、今日狙っていたきのこがさっぱりだし、もらっていくとするか。ヌメリスギタケとの違いは柄にぬめりが歩かないか。本種ヌメリスギタケモドキは、柄にぬめりが無いのだ。

結構高いところにあったので手が届かない。高島先生のアイデアで、落枝を利用し柄を押して採った。


  


左:ベニテングタケテングタケテングタケ属)も、もうあまり見当たらない。

中、右:少し冒険の趣だがナラタケモドキ(キシメジ科ナラタケ属)と判定。食用だが消化が悪い。ミズナラ立生木の根株にあった。ナラタケによく似ているがつばがない。また、同様の発生の仕方で毒きのこは思い出せない。採って帰る。


  


左:ウラジロモミとミズナラの混交林である今日の場所に驚くほどあるきのこ。湯でこぼすと真っ黒になるのだが、なんという名前か思い出せない。味は、悪かったような気がする。

中、右:ツバアブラシメジ(フウセンタケ科フウセンタケ属)が菌輪になってごっそりあった!食用になる。ようやく、一種でまとまった量が採れた。傘の開いていない、食べ頃のものを30本程いただいてきた。


  


嬬恋牧場付近の清流に、サンショウウオがある…我が社の会計の青木さんがの話を信じ、そこの沢水でヌメリスギタケモドキの味噌汁を飲むことにした。しかし沢水を味見して唖然!すごい酸っぱいぞ?…これで味噌汁を作るのは無理だ。携帯していた自前の水で作ることにした。

昨年の経験から、高島先生はわかめ等味噌汁の具を用意していらっしゃった。うーんナイス。

カフェ嬬恋のおにぎりとヌメリスギタケモドキの味噌汁を山で。これが今日のお昼ごはん。


  


昼食後は場所を変え、『万座でマツタケを探そう!ツアー』をすることにした。場所は岩場の崩壊地のコメツガ林を狙う。岩場の崩壊地…これは急傾斜を意味しかなりキツイ。しかし、足元は笹で覆われていないのであれば見つけることができると思った。

しかしあったのはツガザルノコシカケばかりだった。今日探してみて思ったのは、コメツガ林という発想は良かったのだか、今日の土壌は良すぎた。土壌が痩せていなかった。マツタケがかつての里山でよく採られていたのは、畑の肥料にするために毎年落葉落枝を掻かれてしまっていたからだ。だから、探すのであればあんな大木が混ざるふかふかの土壌の場所ではなく、尾根沿いの土壌が痩せた場所を探すべきだったのだ。

帰り道、イワガラミ(アジサイ科イワガラミ属)の黄葉がきれいだった。


  


ヒカゲノカズラ(ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属)の群落を通ると、ぶわっと白い粉が舞った。胞子嚢が開いているのだ。夏に伸びた胞子嚢穂の形態が変化している。カバノキ科樹木の雄花が咲く時と様子が似ている。

さて、たっぷり自然観察したので、今日のメインイベント、きのこ料理で一杯やるとするか。


  


今年も、親友である津島恵実さんに料理を指導していただく。

まずはツバアブラシメジを湯がく。大根、柚子、だし汁などと絡めて「ツバアブラシメジのおろし和え」に。

その湯がいたお湯をそのまま利用して味噌汁に。天然きのこは量が少ないので石づきも利用する。硬い石づきは先に入れ、少し後で傘を入れた。出しはいりことだし入り味噌で。…この「ツバアブラシメジと玉ねぎの味噌汁」がめちゃくちゃ美味かった。

もう一品はきのこの洋風炒め。玉ねぎ、ベーコン、トマトを炒めて絡んできたらきのこを入れる。さらに炒めつつ、塩コショウで味付けして押しまい。これがワインに良く合う「5種類のきのこの洋風炒め」。きのこはヌメリスギタケモドキ、チャナムツムタケ、カワリハツ、ナラタケモドキを使用。また浴びるほどに飲んでしまった。