弁天池上部 〜シラビソのフィトンチッド〜



思うことがあって弁天池上部を少し歩く。空吹きを越えて数百メートル進んだ小川の流れている所を登っていく。崖に突っ込んで登っていく形だ。

しかし、少し登ると平坦で快適な平面的広がりのある地形となる。崖と平坦な所が交互に続くのが万座の地形だ。

白根沢の絶壁が樹々の隙間から見えている。あの絶壁を見ながら歩くコースは開発の余地がある。


  


ある程度地形の確認をしたので、目的のものを探す。今日は春の風で枝折れしたシラビソの枝を拾いに来たのだ。写真は森の入口付近で撮ったもの。森の奥深くではこんなにも折れた枝葉は散乱していなかった。森には風を緩衝させる効果があるのだ。

シラビソの折れ枝を見つけたので、持って帰って粗く切り、紙コップの中に入れる。これをデスクの上において嗅ぎながら仕事をすると、リラックスして頭がさえ、効率良い仕事ができるのではないか?と思ったのだ。

神山恵三の「森の不思議」という本に、こんな一節がある。

『…百日咳にかかっている幼児のいる託児所内の部屋にトドマツの枝を入れて、床に散らしておくと、空気中の細菌類が10分の一ぐらいに減ってしまう。トドマツからのフィトンチッドによるものである。』

マツ科ではフィトンチッドの多い順にトドマツ、エゾマツ、シラベ、ハイマツ、アカエゾマツ、トウヒ、モミ…とつづく。シラビソはフィトンチッドはずいぶんと多い方なのだ。製油して使用されない理由は、その多くが国立公園内に自生する種であるからなのだろう。さて、このフォトンチッド効果、効くかどうか…?