さとやまの父と、ツリークライミング

邑楽郡千代田町に川原幸司という男がいる。
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/k-kawahara/

この平地林は本来の公害防止、防災、安らぎと癒しの場などの公益的機能は失われ、不法投棄ゴミと薮が繁茂する荒廃した林になってしまっていた。そして6年前、この林を回復させようと川原さん夫婦は立ち上がった。それが千代田町里山クラブである。

「好ましい環境の形成は、そこに住む人の汗の量に比例します。地域の宝であるこの平地林は、今失うともう2度と回復できなくなります。私達の自主活動でこの平地林を残していくためには、私達が森林の中での自然体験、野外活動を周囲の住民や子供らと共に楽しみ分かち合うことによって、『この平地林こそ必要でかけがいの無いものだ。』と思う心の醸成がなされれば…と思っています。」

と語る川原さんは今でも毎日不法投棄ゴミとの戦いだという。スタート時は協力者ゼロだった里山クラブは現在100名以上の協力者を得て広大な敷地を管理している。もちろん相変わらず無報酬のボランティアで。

今日はその自然体験プログラム「ツリークライミング」を紹介する。群馬県で初めての企画。


 


ツリークライミングはただ単に木に登る事を目的としたものではなく、「木と友達になり自然を大切にする気持ちを育てる」というテーマを持つという。いわゆる今流行の環境教育プログラムとして進めて行っているようだ。枝から枝へ渡ったり、木の上でキャンプをしたり、地面に下りずに隣の木に移ったりすることもできるという。

ツリークライミング・ジャパン↓
http://www.treeclimbingjapan.org

早速はじまりはじまり。間伐材で造ったログマウンテンの前で説明を聞く。
茂さんが気になっていたのはロープの結び方。この技術、ホント凄いです。まさに匠。写真見るだけで後で解るかな…。


 


魔法の結び目のおかげで、あっという間に上にあがって行く。インストラクターの指示通り行えば全く危険性はない。10m付近に設置したツリーボートには、さすがに小学校低学年の子供達では怖くて乗れなかったようだ。

少しずつ登っては周りの風景を見てのんびりするのもよし、宙ぶらりんを楽しむのもよし、確かに都会の子が木に親しむプログラムとしては優れている。

子供達が夢中になるのがよく解る。


 


さて、このプログラムは単なる自然体験としてだけではなく、木や自然の大切にする優しい気持ちを育ててほしいという狙いを持っている。

終了後、今日踏んづけて硬くなった土の上に落葉を蒔いて柔らかくしてやり、楽しませてくれた木に触れ感謝を捧げる儀式を行う。それで晴れて証明証の授与となる。

興味的な儀式だったので紹介しておく。


 


イベント終了後、参加者は里山クラブ特製の飯盒炊飯のご飯とおでんをいただく。

子供達は勢い余って眼鏡の指導者に「メガネー!」と呼ぶ。それを川原さんが「コラァ!お前達。メガネーなんて呼ぶやつがいるか!先生と呼びなさい!先生と!」と真剣に怒る。ナタを不要に扱う子供にも「オイ!今日はナタを使う日じゃあないだろう。こっちの割ってあるものを使いなさい!」と怒鳴る。面と向かって真剣に向き合ってくれる大人がいないこの時代にどれだけ救いになっていることか。彼に子供を預けておけば何も心配要らない。骨くらい折ってもらっても良い。

邑楽郡千代田町には川原幸司という男がいる。

最後に気になっていた「さとやまとりで2号」を拝見して、記念写真を撮って里山クラブを後にした。また、とてつもない人物と出会ってしまった。