軽井沢での朝の自然散策コース検討
今年は軽井沢の会員制高級ホテル様より、午前中、ホテル周辺の自然観察散歩をオーダーいただいています。7月後半からは軽井沢へ幾度となく足を運ばせていただきました。
根萌芽している街路樹のイチョウの木。自然観察としては格好の材料ですが、お客様の多くは首都圏からお見えになりますから、わざわざ首都圏にもある植物を紹介することは無いでしょう。しかし、さすがにこの、オニノヤガラは無いかもしれません。本種は標高1,000mの高原地帯に生育する訳ではありませんが、ある程度の豊かさと広がりを持った森林じゃないと見つけられません。
ちなみに、オニノヤガラは主にナラタケ菌から栄養提供をうけて生活する菌従属栄養植物(腐生植物)です。見ての通り葉緑素を持たず、光合成を行ないません。腐生植物の分類では山でよく見かけるギンリョウソウというのがあり、あちらは真っ白けです。
ギンリョウソウは、周囲の樹木と外菌根を形成して共生するベニタケ属の菌類とモノトロポイド菌根を形成し、そこから栄養を得て生活しています。つまり、直接的にはベニタケ属菌類に寄生し、究極的にはベニタケ属菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生活しています。
ところが、ここからが非常に私の頭を悩ませるところで、ナラタケは菌根菌ではなく、木材腐朽菌なのです。木材腐朽菌とは木材に含まれる難分解性の木材基質(リグニン、セルロース、ヘミセルロース)を分解する菌類で、樹木にとってコンクリートの役目を果たしているリグニンを分解できるのはこの菌類のみに限られています。
つまり、ギンリョウソウは光合成生産物を得て成長していますが、オニノヤガラはナラタケが分解した木材基質を吸収して成長している? 或いはナラタケ菌糸そのものを分解・消化吸収しているらしいのです。 全然、生活が違いますよね。
ただし、光合成生産物=デンプン(C6H10O5)も、木材基質も、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)だけでできているのですから、無茶苦茶な話ではありません。そして、オニノヤガラはラン科、ギンリョウソウはシャクジョウソウ科ですから、腐生植物として同じグループに括ってはあるものの、見た目の概念的なものであって、生活環はまるで違う、と思う訳です。
軽井沢では生垣にウラジロモミをよく利用しています。恐らくは、高木になるので日陰を作ってくれる、ということと、まっすぐ成長するので周囲の家に迷惑をかけない、という理由なのでしょう。
雲場池に到着。大きなクリの木があります。
コブシの実があります。軽井沢の森では4月の花と言えばサクラソウとコブシ。湖畔にはドクゼリが咲いています。
カルガモばかりかと思いきや、カイツブリが一匹混じっていました。これからしばらくは、このチチタケがそこいら中で見られます。
珍しく道路に張り出していたミズナラの木。マスタケがごっそり出ていました。
次に万平ホテルへ。万平ホテルは元々「亀屋」という旅籠でしたが、近代において避暑地軽井沢として発展し始めた際の曙時代を風靡し、また共に歴史を歩んできたホテルです。ジョン・レノンが愛したホテルでもありました。でもコースからは遠く、諦めることにしました。
おや、ソバナの花がきれい…
諏訪神社に着きました。ここの社叢は軽井沢町の天然記念物で、トチノキ、ケヤキなどの巨木がいくつもあり、目をみはります。
隣接するユニオンチャーチには自由に入れるみたいですね。これは…ハエドクソウ。よーし、準備が整いました。来月から楽しみです。