浅間山ジオエリア スーパーインタープリテーション研修会



教育旅行で、浅間山火山学習の取り扱いが増えてきています。今日は当協会ガイドが集まり、浅間火山を主な題材としてのどのようにエコツアーガイディング・インタープリテーションをするのかの研修会を行いました。



  


まずは小浅間山に登山をします。浅間山学習登山だと、広義の浅間山の一部でもあり、前掛山にぐっと迫れる黒斑山が最適ではありますが、黒斑山は中学生でも少々キツイ登山になってしまうという事と、公共の駐車場が無い上に公衆トイレが不十分で、小学生、或いは中学1年生の教育旅行では小浅間山登山+山麓で他の火山学習 のスタイルが現時点では最良です。
※高峰高原ビジターセンターは高峰マウンテンロッジ(旧チドリ―ホテル)グループが経営している民間施設ですので、同グループのホテルに宿泊し浅間山麓国際自然学校のインタープリターを利用しないと融通を利かせられないそうです。


1783年、天明の大噴火の際に浅間山(釜山火口)から飛んできた火砕物をここで観察します。しかし、今回は4クラスに時間差を持たせたいのです。準備体操、コーラ噴火、地層の見学…あともう一つ何か無いかな…?



  


正面玄関の脇に、直径50?程ある火山弾を発見しました。これはラッキー。この観察と解説で5分は時間差を作れるはずです。
浅間・吾妻エコツーリズム協会のエコツアーガイドでは、小浅間山登山道をただ登るなんてことはしません。学習に最適な自然林がたっぷりあるのですから。カラマツの大木を観察したり、



  


ホオノキの食痕が誰の仕業か考えてみたり、不思議な樹形がどんな風に役立っているか考えてみたり…



  


けものみちを辿って、動物の足跡を発見してみたりします。



  


今日は、こんな風合いのダケカンバのところに出てきました。おー、チョウセンゴミシがもう実になっています。まだ熟してはいません。



  


再び森の中へ。気根を出して他の樹木をへばりつきながら上るツタウルシと、樹木を回旋し締め上げながら上るヤマフジ。どちらの方樹木にとって優しい?



  


中には、同じ株の幹がこのようになっているものもあります。不思議です。山頂近く、軽石だらけの痩せた地面でグンバイヅルが頑張っています。




今日は山頂一周コースを取ってみます。何があるかな?



  


軽石の中に大きな火山弾がめり込んだ跡があります。この新しそうな色、質感はおそらく20世紀の噴火のもの。火口から3.8km地点に直径50cm以上の火山弾を飛ばすのですから、噴火の力はすごいものですね。コメツツジがあって、



  


左回りにぐるっと行きます。小浅間山山頂から見下ろす、離山の手前にある住宅街は別荘地かな?



  


東峰には小浅間山山頂(1,655m)の看板があります。さらに進むと動物が掘り返したような跡があります。このような軽石ばかりの痩せた地中に、ミミズでもいるのでしょうか。それとも根を食べたのか…2001年9月1日浅間山噴火のクレーターと発表している方もいますが、残念ながらこれはそうではありません。火山弾によるクレーターはもっと違った形、スープ皿状になります。



  


西峰に到着。こちらの方が秘境感があって私は好みです。北西方向には1783年鬼押出し溶岩流や1108年の溶岩流、4世紀の溶岩流が作った溶岩堤防と末端崖、そしてベロを出しているような舞溶岩といわれる地形を観察するのです。




浅間・吾妻エコツーリズム協会のエコツアーガイド達。イキがいいでしょう?!



  


西峰からはどう降りても急斜面で大変。ならばいっそ、軽石の中を直線的に下りるこのコースを取ってしまった方が楽しいのです。




コース最大の広葉樹はアズキナシです。もうかなり弱っています。私が生きているうちに倒れ、樹齢がわかることでしょう。天明噴火の前からあるか、後に出てきたものか…



  


次は鬼押出し園へ。ここには鬼押出し溶岩流を学習するために最適な遊歩道があります。※浅間火山博物館の自然歩道でも学習できます。割れ目に入り込んだ水が冬の凍結と春の溶解を繰り返すと、このような巨石も簡単に割れてしまいます。



  


ヒカリゴケが生息する岩の隙間に手を入れてみると、ひんやりとします。鬼押出し溶岩流の中には、なんと昔、冷蔵庫にも使ったという万年氷があるのです。そこに繋がっているのかも知れません。一般的には風穴といいます。



  


溶岩流の中に閉じ込められた白い石。これは、火口壁の中にあったものが取り込まれて流下したのでしょう。




場所によっては、このような奇岩が連なるところがまだ残っています。




1783年鎌原土石なだれでできた板目石と、1108年追分火砕流でできた追分キャベツ(火山弾)が組み合わさった灯篭、見事です。



  


その後、嬬恋郷土資料館で主に鎌原土石なだれについて学習し鎌原観音堂へ。16時をまわり、詰所は閉まっていたのですが、今日のご担当の方が私たちが来るのを待っていてくださいました。お話を伺い、奇跡のお堂を参拝します。




そして鎌原集落を散策します。最大の見どころはこのケヤキの巨木です。鎌原神社境内にありますが、鎌原幼稚園側にあるので、見学するには幼稚園にご挨拶してください。




この大きさ、伝わりますか?手前近くにいる女性と太さを比べてみてください。<直径150cm の大木です。


この後、鎌原土石流れが止まった跡を見に行って、赤木道紘の浅間山ジオエリアスーパーインタープリテーション学習会が終了しました。皆さん、協会エコツアーガイドの皆さん、9時間ぶっ通しの学習会、お疲れ様でした!






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