平草履づくり(旧六合村・世立流)



「ものづくり伝道師 浅間・吾妻塾」第五回は旧六合村(現中之条町)の 『平草履づくり』 を実施しました。
http://ecotourism.or.jp/monodukuridendoushi/hirazouri.html


六合村で草履といえば、こんこん草履が有名ですが、今回、半日で一通り作成体験ができる、地域の「ものづくり」を掘り起こしているので、一日かかるこんこんぞうりは今回パスして平草履作りにしたのです。


それにしても、当地地域に昔から愛用されてきた、藁を布で包んで編んだ草履は、あったかくて丈夫、作る際に藁が落ちなく仕事も早い、しかもお好みの柄でお洒落にできるし、履いた感触も気持ちが良い…と、評判良いです。


ものづくり伝道師浅間・吾妻塾 『平草履づくり』 の様子をレポートします。





せっかくこの時期、六合村に来たのだから、厳冬期は全面凍結する「大仙の滝(おおぜんのたき)」に寄ってみます。この滝は世立八滝と呼ばれる滝めぐり名勝の入口にある滝で、アイスクライマーが盛んにチャレンジしていると聞きました。が、今日は登っていないようです。もう時期が過ぎているのかも知れません。




  


会場は六合村ふるさと活性化センター「よってがねえ館」です。この施設は通常、冬期は閉鎖していて、毎週水曜日にだけ開館し、地域のばば様方がこんこん草履を作りに集まります。その、水曜日に合わせてこの講習会を設定しました。


和室にはブルーシートが敷かれ、その上にいろんな材料・道具が置いてあります。


《事前準備》

  • 広い会場(作業場所で一人1畳以上必要)
  • ブルーシート(掃除が楽なように)
  • 編み台(一人一台ずつ)
  • 座布団(座りっぱなしで足が痛くなる)
  • 編みワラ(ワラ2・3本に95cm×4cmの布を巻いたもの)


《材料》

  • 編みワラ24本(内4本は鼻緒で使う)
  • PPロープ(直径0.8cm×200cm)×2本
  • 麻ひも40cm×2本


(図の出典:食農教育2009年11月号)残念だったのは、編みワラが、全て準備されてしまっていたことでした。てっきり、藁を自分たちで、好みの布に包むことから始められるのだとばかり思っていました。しかし、本気で技術を習得したい人だけではなく、何となーく来てしまった人も混じっている講習会では、ここまで受講者が取り組めないのかもしれません。そして体験学習の実際のシュミレーションをしてみても、無理やり連れてこられた人には向かない、細やかな作業では、あります。




  


参加者が続々と集まってきました。20名の体験者に対して、8人くらいのお婆様方講師がお付きくださいました。んーこれでは採算が合わないのですが…





親子で平草履づくり。いいですね。




  


さて、平草履づくり開始。まず、PPロープの両先端をひと結びします。ロープを半分に折り、さらに捻って8の字をつくります。




  


8の字の交差点で折り返して、




  


編み台に引っ掛けます。





編み台にロープがかかりました。この4本並んだロープが「芯縄」となります。これをベースに草履を編んでいきます。




  


端が15cmくらい出るように、編みワラを芯縄の輪に入れ、下から3回巻きます。




  


巻いた編みワラの先端を輪の中心に向かって立てて、4本ある芯縄の中央2本と一緒にまとめて、長い方の編みワラを上から押さえます。




  


押さえた編みワラをそのまま左の芯縄の下をくぐらせ、




  


締めながら編みワラを上に折ります。




  


長い編みワラを中央2本の芯縄の後ろを通し、右の芯縄の上に出します。この時に、短い編みワラの先端を中央2本の芯縄の間に挟めます。




  


右に出した編みワラを芯縄に巻きつけ、中央2本の上を通し、




  


左の芯縄との間の下を通し、くるっと上に回します。この時、真ん中に現れた編みワラの横線は2本になっています。




  


編みワラを、中央2本の芯縄の後ろを通して、右の芯縄の上に出します。




  


真ん中に出ている短い編みワラを、中央2本の後ろを通した長い編みワラの下(後ろ)に出します。




  


ギュッと締めて、横に広げて。左芯縄の上に出た編みワラを後ろにまわして、







中央2本の上を通すと、横の線が3本できます。ここから、編み方が変わります。




  


人差し指、中指、薬指を芯縄の間に入れて、4本で編んで行きます。左の芯縄の後ろ側から手前に回し、




  


芯縄に対し交互に編んで行きます。




  


折り返して、次々に編んで行きます。




  


編みワラが終わったら、真ん中の隙間に新しい編みワラを入れて、少し重ねる感じで継ぎ足します。中途半端な長さ、芯縄の端の方で無くなった場合を説明します。


まず、布を止めていたテープをとって、外側の芯縄にまわします。次の芯縄にかけられなかった場合は、その位置で、しっかり押さえておきます。




  


こういう場合も、やはり真ん中から継ぎ足します。イメージとしては「重ねる」感じではなく、「足らず」状態で進めていきます。




  


折り返して端まで来ました。先ほど足りなかった部分の編みワラをしっかり押さえながら、その上に次の編みワラを重ねていきます。編み込む際、ワラを張りすぎると横幅が短くなってしまいますので注意します。逆に、長さを決める手前方向にはしっかり押さえながら重ねていくようにします。




  


鼻緒をつくります。2本の編みワラを片膝で押さえて、左縄(右手を手前に引いてなう)をないます。




  


つま先から約3cmのところでV字をつくり、まず片方を編み込んでいきます。




  


芯縄の外側から3本まで編み込んだら、もう一方の編みワラを編み込みます。




  


両方できたら、新しい編みワラを真ん中から入れます。左から右に編んで終わっていたので、次は右に編んで行きます。




  


端まで来たら、鼻緒の上(内側)から鼻緒をひと巻きします。




  


芯縄に編んでいって、もう一方の端まで来たら、やはり鼻緒の上、内側からひと巻します。




  


鼻緒はキツく締めること。芯縄に折り返して、通常の編み方で続けます。




  


最後は、芯縄を外側から2本まとめて上から編みます。




  


芯縄を引っ張ります。手前にあった芯縄(PPロープ)を編み台に引っ掛け片足で抑え、両手で手前に引っ張ります。




  


形が整ったところで芯縄(PPロープ)を草鞋から5〜6cm位のところで切り、裏返して底に突き出た余分な編みワラを切ります。







表にして、さらに形を整えます。余分な編みワラがはみ出ている場合はハサミ等で突っつき、中に押し込みます。




   


最後の編み込みで、芯縄を外側から2本まとめて編まなかった方の直し方をお見せします。竹で作った道具「わっぱさみ」の先端を編みたいところに刺し、もう一方、二つに割った部分に編みワラを挟めて、




   


先端方面に引っ張ります。少し出た編みワラを手で引っ張っれば、しっかりと通ります。




  


次に、鼻緒を留める前坪部分を作ります。前坪部にわっぱさみを刺して、




  


麻ひもを通します。




  


麻ひもの輪にPPロープ(芯縄)2本を入れて、強く締めてとめます。




  


麻ひもを左縄でない、約2cmの長さにして鼻緒を跨いでまわします。




  


鼻緒を折り返して底に行く麻ひもをないます。鼻緒をねじって、わっぱさみを通して止めます。




  


もう一度、麻ひもを左縄でなって、わっぱさみを天→底に通します。この時、一本手前の編みワラに通します。一本手前の編みワラがあまりにも粗末な場合は、もう一本手前にします。




  


麻紐を挟んで、わっぱさみを突き通します。前坪の長さを調整して、




  


底裏でしっかりと本結びします。余分な芯縄(PPロープ)、麻ひもを切って、





六合流・平草履のできあがり〜!


いやあいい出来です。っていうか、通さんは何やってもうまいですからね。






終了してから、講師の皆様(八滝の会の皆様)が地元のお茶菓子でおもてなししてくださいました。感謝致します。せっかくの機会だったので、皆で、布で包んだ、平草履やこんこん草履のことをシェアすることにしました。

  • どうして、ものづくりをさせるのか → 自分の手で作ることで、ものの大切さを知る。
  • 普通の草履と比べて、何が違うのか → あったかくて丈夫、作る際に藁が落ちなく仕事も早い、しかもお好みの柄でお洒落にできるし、履いた感触も気持ちが良い
  • どうして、六合村では布を巻いているのか → 昔は、布は巻かなかった。しかも、材料は尻焼温泉のお湯につけて柔らかくしたスゲを利用していた。ワラは使っていなかった。


話を聞けばいろいろと出てきます。なんと、今回はワラを使っていますが、元々は六合村入山地区は寒くて稲作に適さなく、ワラは無かったそうなのです。しかし岩菅山の地名があるようにスゲはたくさんあった。それを尻焼温泉で軟らかくすることを「ねどふみ」といい、こんこん草履などは、この軟らかくしたスゲで編んでいたそうです。


ねどふみの里 こんこんぞうりのページ
http://www.kunimura-kankou.com/2010/03/post_263.html





それにしても、今回は助成金のおかげでえらくお安く体験学習させていただきました。皆さん揃ってハイ、チーズ。 どうもお疲れさまでした〜。






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