陶芸体験指導者養成研修会



「ものづくり伝道師 浅間・吾妻塾」の第一回目、『陶芸体験指導者になろう!』が終了しました。参加者は14名。盛況に終わることができました。これから、「体験指導マニュアル」を作ります。詳細なものは動画を見ながら作りますが、取り急ぎ手元の写真を整理するためにも、学習した内容と手順を記載したいと思います。




  


まずは材料を練るところから。この作業を菊練り(きくねり)といいます。粘土の硬さを均一にし、適度な粘り気を与え気泡を抜く作業です。一般的には3kg〜5kgくらいの粘土を俵状にして、片方の手で押し、片方の手で捻りながら回転させます。練っているときに粘土に菊の花びらのような紋様が浮かび上がることから菊練りと呼ばれるのだそうです。


菊練りYoutube動画(参考)


Youtubeではいろんな方の菊練り動画がアップされています。この動画の方法ではない菊練りもあります。要はよく練って空気を抜くということです。




  


粘土を平べったい直方体にまとめ、左右を重ねたタタラ板で挟みます。これを切り糸で同じ厚さに切り、参加者に配ります。


※名称は岐阜県教育委員会 土でつくる−陶芸ワンポイント− のサイトより引用しました。
http://gakuen.gifu-net.ed.jp/~contents/tyu_bijyutu/tougei/




  


試しにあまり練っていない粘土を切り糸で切ってみます。…すると、







このように、たくさんの大きな気泡が入っていることがわかります。このようなものを窯で焼くと空気が膨張し割れてしまいます。この気泡を抜くのが菊練りです。ただし、どんなに腕の良い職人でも、実際には40%程の空気が残っているのだそうです。


山口氏は愛知県常滑市の土をベースに使っているそうです。草津は土の産地ではないので、草津焼きとはなりませんから、土にはこだわっていないそうです。


粘土は火山の花崗岩が風化して川に流されて堆積したもので、カオリンともいうそうです。最近はいい粘土がないので、とある石を粉砕した砂を粘土にして売られていたりするそうです。しかし、そういうものは陶器ではなく、磁器というそうです。陶器と磁器を総称した名前が陶磁器です。以下のサイトで詳しく理解すると良いでしょう。


日本セラミックス協会 日本のやきもの
http://www.ceramic.or.jp/museum/yakimono/index.html







まずは、角皿を作りたい人(男性陣に多かった)に材料が配られました。




  


先に、カップなどの作り方を見せていただきました。切り糸で切ってある材料の両面をこてでならします。カップの型となる筒状のもの(瓶等)を用意します。




  


二重にした新聞紙を瓶に巻きつけます。瓶の底部分を粘土にあてて、竹串で縁どります。




  


縁どりした円形の部分を竹串で切り出します。瓶を巻いていけるように底と側面を直角に切ります。




  


瓶に粘土板を巻いていきます。




  


重なった余分な部分は切り取ります。重ならなかった(足りなかった)部分は付け足します。




  


次に底部分をつけて、うまく繋がったら中の瓶を取り出します。




  


次に、新聞紙を取り出します。この状態から、さらに好きに形を作ってゆきます。







取っ手をつけたり、模様をつけたり…。これがカップ物の工程です。




  


丼のようなお椀を作る場合は、ボウルを用意します。ここでは新聞紙は使わずに、粘土の方に片栗粉をまぶしました。




  


両手を使って、縦、横、斜めとボウルに沿わせさせます。竹串で上部を切り取って、文様をつけて、







ボウルを外せば、だいたいもう、丼椀の出来上がりです。




  


次は角皿づくりです。まずは粘土板を長方形に切ります。




  


次に角を取ります。濡れたスポンジで外側の4面をスッと撫でます。さらに、指の腹で撫でて角を丸くします。日付と名前を書いてから、裏面も同じように行います。




  


模様を入れます。好きな葉を押し付けます。葉は、燃えて無くなってしまいます。竹串などで文様を入れます。模様ができたら、寄せて上げるようにして凹みを作っていきます。







これで、角皿の完成です。魚料理を乗せたくなりますね。




  


では、早速私たちも作成開始です。松山さんは馴れた手つきで土を練ります。指導経験もあるとのこと。頼りになります。




  


とりあえず、自分も大皿づくりをやっつけ的に体験して、私は周りの様子を撮り続けます。こてにはいくつもの種類がありました。







みんな、思い思いに作成中です。




  


を見つけました。いろんな種類があります。




  


左は土を混ぜるための機械だそうです。さて、そろそろみんなの作品ができたようです。右の写真はペン立てかな?




  


男性陣の角皿も、良いのができましたね。自分が食べたいものを乗せるために作っているからこんなに上手なのでしょう。







もう一方のテーブルも、だいたい出来上がったようです。




  


左は薄井氏の作品。さすがは芸術肌です。右は和実さんの作品。短い時間によくこんなに案が出てきますね。関心です。




  


松山さんも芸術家らしい器を作りました。草を深く入れすぎたところを、焼きの際に割れないように修正しています。




  


昼食は近くの「丘の上のホテル」でいただきました。




  


昼食から帰ってくると、ちょうど陶芸教室のお客様が見えていて、山口さんが高台(こうだい)を削って差し上げていました。この作業はお客様にさせると取り返しのつかないことになってしまうことが多いらしく、山口さん自らが行います。




  


かきべらを丁寧に当てて削り出してゆきます。この作業を底削りと言います。




  


ろくろを回しながら、細心の注意を払い中心を見極め、削ります。







美しい高台ができました。ちょうど、撮影することができて感謝です。




  


午後からは参加者に体験してもらったあとに、体験後に山口さんが行っている工程を一通り教えていただきました。まずは参加者にお名前、ご住所、作った作品、釉薬の種類、書いたサイン、そして図をシートに書いていただきます。




  


そして、まずは乾かせます。室内だと約一週間かかります。やや白っぽくなっているものが乾燥させたものです。この状態だと、濡らせばまた粘土に戻ります。乾燥させた作品は、窯に詰めて約750℃で焼きます。それを素焼きといい、色もやや濃くなり、もう粘土には戻りません。叩くとカンカンと高い音が出るようになります。そして釉薬をかけます。




  


釉薬は濃い状態で保っておき、かける直前に濃さを調整します。上の写真は「白地に緑色の斑」というオーダーに対しての工程です。先に白をかけてから、次に緑色をかけています。







お客様のご希望通り、「白地に緑色のまだら模様」の釉薬がかかりました。




  


次に、窯を見せていただきました。山口さんは現在、電気窯を使っています。素焼きは、カップばかりだと5時間位で焼きあがりますが、皿ばかりの時は「ねらし」といって、ゆっくり上げていかないと割れてしまうことがあるため、18時間もかかることがあるそうです。


釉薬をかけてからの本焼きは、1250℃で約18時間〜24時間かけて行います。この時に、ゼーゲル針をつかうと温度を正確に測ることができます。徐冷(ゆっくり冷ます)の時間を短くしてしまうと予定通りの色が出ないものもあるので注意します。







最後に、団体でお受けした時にお宿のホールで作成から半乾きのうちに持ち出し、乾燥、素焼き、本焼き…とシュミレーションしました。作品を宿から工房まで移動させるのも大変な作業ですし、本焼きが終わった後、ざらついた高台のままだとテーブルや盆に傷をつけますので、砥石で磨く作業、底擦りの作業があることもお伺いしました。割れた時も十分に対応策をお持ちでした。




しかし、陶芸は奥が深い! 陶芸体験指導サポーターとしての修行は始まったばかりでございます…







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