カモシカを探して
2月5日には、海外のお客様から『ニホンカモシカに会わせてほしい』というオーダーをいただいています。
エコツアーなどの最中に、カモシカに偶然出くわすことはたびたびあるのですが、いざ、カモシカに会うことを目的とするとなると、いったいどこが良いのやら…。
いろいろと検討した結果、やはり、冬の時期では最も出くわすことが多かった万座の方に下見に行ってみることにしました。
以前、万座でスノーシューコースを検討するために歩き倒した際に、足跡をなんとなくつけてみたら「ブシュッ」っていう威嚇音を出され、気がつくと目の前にカモシカがいた…という思い出の場所です。
ところが入山してみると、今年は最近になってやっと雪が積もったせいもあり、まだ雪がしまていなくて笹の部分が空洞化し、胸まで埋まってしまい前に進めません。15m程しか進めませんでした。
それで、林床に笹があまり無いところでカモシカを探すことにしました。表万座スノーパークの看板付近から森に入ります。
今年利用されていない道路を歩きます。昨日の大雪で膝まで埋まる始末です
森に入って20分ほどで、大型野生動物の寝床跡らしいものを見つけました。しかし、この時はもっと新鮮な跡があるかもしれないと思い、先に進むことにしました。
歩きやすい昔の林道を歩いて岩場に来ました。夏にカモシカを岩場で見かけることがあるからです。ところが足跡は無し。オコジョでもいるかとも思ったのですが、それも無し。
諦めてUターンしましたが、同じ場所を歩くのも癪なので、ウラジロモミの林に入ってみることにしました。
そしてようやく、カモシカの休んだ跡を見つけました。一番先に見つけたものの上部にありました。きっと繋がっているのでしょう。とりあえず、この足跡をたどってみることにします。
しばらく進むと、休んだ跡の場所に、少ししか雪が乗っていない場所がありました。これは、昨日の跡ではありません。もっと新しい、たとえば今朝の利用跡です。枝に白っぽい動物の毛が付いていました。
しかし、この足跡が気に無ります。副締(ふくてい)の跡がはっきりと見えるのです。カモシカにも副締はあるのですが、かなり高い位置にあり、雪上には足あととして残らないことが多いのです。…心配なのはイノシシの足跡であることです。ばったり出くわすと、向かってくる可能性があります。
ウシ目(ウシもく)または偶蹄類(ぐうているい)のこと --- Wikipediaより
偶蹄”目と呼ばれるように、ウシ目の特徴は、2つに割れた蹄である。これは第3指と第4指(中指と薬指)が変化したもので、主蹄(しゅてい)と呼ばれる。また、かかとにあたる部分に、副蹄(ふくてい)とよばれる小さな蹄がついているものもあり、岩場などでずり落ちないようになっている。
ところが、その先にありました!カモシカのウンチです。ホッとしました。これで、安心して追跡を行うことができます。
足跡はもう、かなり新しいものに見えます。数時間前でしょうか。食痕もありました。ナナカマドの若枝を食べたようです。
目の前に野生動物が飛び出しました。カモシカか!っと一週期待しましたが、ノウサギでした。真っ白の冬毛のノウサギ。綺麗でした。
もたもた歩いていたカモシカの足跡に異変が起きました。追ってくる私の存在に気付き、足跡が疾走(ギャロップ)となってしまったのです(ゆっくり歩くときはトロットという)。完全に私から逃げている状態です。
そして16:00。急斜面を登るカモシカの足あとを目前に、今日の追跡は諦めることにしました。もう日暮れ時だし、怖がらせてはいけません。残念でしたが…
とりあえず、カモシカの存在も確認できましたし、追っていけばかなり接近することができるということが解かりました。ただし、『カモシカウオッチングスノーシューツアー』を商品化するには、もう少し生態調査と事前準備が必要なようです。
当日のカモシカ探し迷走の様子を、Youtube動画にアップしました。どうぞご覧くださいませ。