硫化水素ガス検査(本白根沢)



今日は本間さんのお付きで本白根沢の硫化水素ガス検査に行った。万座のカラマツ天然母樹林のさらに奥に、ガスが発生している危険な場所があるのだ。(カラマツ天然母樹林のコース内は安全です)



冬は立入禁止のロープが張ってあるところを入っていく。本白根沢の水の色は青い。これは白根山湯釜と同じく、鉄イオンによるものだろうか。


 


かつて林野庁がカラマツの更新等の試験をしていたあたりには、実生の稚樹がたくさんある。それを越えてしばらく歩くと、ようやく硫化水素ガスが発生している危険地帯となる。


 


足元には、どこかで見たことのあるような岩が。おや、これは浅間山の板目石に良く似ている。浅間山鋸岳付近にある溶結火砕岩にも似ている。軽石の再溶結は、何も浅間山だけに限ったことではないことが解る。



最も硫化水素ガスが多く発生している場所ではなんと夏にツキノワグマが死んでいたそうだ。約2カ月経った今ではクマの体毛らしきものが残っている程度。他の動物が食べたのか、それとも硫化水素ガスにより分解されたのだろうか。なんせガスは岩をもボロボロにしてしまう。


 


ガス値を計測しながら、周りを確認。動物の骨が見受けられるがツキノワグマのものか?野生動物は死期になるとこういう場所に来て自ら命を絶つと聞いたことがあるが…
そしてそう古くもない動物の糞は何者のだろう?動物の死骸を食べに来た他の動物のものだろうか?


 


硫化水素ガス測定器は、ポンプ型になっていて、ピストンを引っ張ることで内部を真空状態にし、専用の試験管をフィルターにして微量の硫化水素ガスを検出する。メモリ5の先、7くらいの位置まで色がついているのが解るだろうか。


 


本白根沢の岩は、万座川に転がっているものとよく似ている。かつての火砕流が、硫黄にあてられるとこうなるのかな?
ここ本白根沢源頭付近は、地形的に、かつての火口であると考えられる。私は、その噴火によって生まれた硫黄を含む泥流で本白根沢のカラマツ一斉林が生まれたのだと信じている。恐らく、500〜600年前ではないだろうか。母樹林のカラマツがそう答えてくれたから。