屋久島旅行 最終日
今日は一か八かの勝負。天気予報では寒波が襲来し、海沿いは暴風雨だという。しかしもう最終日になってしまった。今日しか白谷雲水峡には行けないのだ。あの、もののけ姫の舞台になった、太鼓岩に行ってみたい。
宿を出た時点ではそうでもなかった雨も、海沿いを走ると暴風雨。ぐわっ!この天候で山に入ったら死にに行くようなものだ!しかも山に上がると雹が降ってきた!マジか?
愕然としながら、とりあえず白谷雲水峡に来てみると、あらま、普通に登山者がいるじゃないの。まずは明るくなるまでお弁当を食べる。すると、天気が回復してきた。よーし、やる気になってきた。もののけの森が私を呼んでいる。都合の良いことばかり言い、連れに半ば呆れられながらも、太鼓岩往復コースに出発。
出発時、歩道に積もった霰はこの程度。天候が回復することを祈る。
昨日、工房樹美留の田辺さんにことだまの撮り方を教わったので早速やってみる。おお、写るわ写る。しかし目はあまり出現しないな。やっぱり、霰や雪の日じゃだめなのかな?雨の日じゃないと。
屋久島の照葉樹林に雪が降る。聞いてはいた風景だが、まさかこの目で見るとは。
河原沿いを歩いていく。ここは水源の森百選。
昨日のヒッチハイク美大生が「白谷雲水峡は入った時から何か違っていた」と言っていた。確かに、ここは鬱蒼とした極相隣の美しさというよりは、開けた森、明るい森のイメージだ。渓流沿いであることと、屋久杉の割合が少なく、森が明るいせいだろうか?
雰囲気の良いところで、“もののけ姫”を篠笛で吹いてみた。すると、終わるや否や強風が私たちを包み、吹雪の様相になってきた。森の神を怒らせてしまったのか?!
しかし、太鼓岩はもうすぐそこのはず。先に行ったグループは別コースに向かったようで足跡がなかったが、大丈夫、さっきのは森が反応したのだ。決して怒ってはいない。目的地に進もう。
れがゆっくりしている間に先に太鼓岩へ。この時、雲が切れ、周囲の山々が一瞬見えた。これが、宮崎駿がヒントにした絶景か!
そして天気はますます悪くなる。風速20m以上の風が吹き、かなり危険な状態。記念写真を撮ってもらい、早々と下山することにした。猛吹雪で顔が痛〜い!
帰り道は完全に雪山登山状態。ここは本当に屋久島か?!
でも、こんな思い出に残る体験ができたなんて、普通じゃありえないことだった。エキサイティングな自然の演出に感謝、感謝。もののけの森よ、ありがとう。
帰り道、私たちが通ってきた白谷雲水峡の道路が雪で閉鎖されることになっていた。
この後、船便が全て欠航する事態が発覚。私たちが山に行った後にアナウンスがあったようだ。早速、飛行機の予約を入れ、夕方まで島で過ごす事になる。結果としてゆっくりできて良かったのかも。
いくつかのお土産屋さんに寄る。私の関心はもっぱら木材を使ったクラフト。この「やくしま 森の癒し箱」2940円は飛ぶように売れているらしく、お一人様一点限り。うーん、こいつは屋久杉だから成り立っているんだろうな。嬬恋産カラマツでは無理だと思うなー。
この、合わせ木のアートクラフトはセンスが良い。流木アートギャラリーむっちょむ庭園の作品。
屋久島 流木アートギャラリー むっちょむ庭園
http://www7.ocn.ne.jp/~mocchomu/
ぜひ、アトリエに寄ってみたかったのだが、今日は定休日とのこと。この“屋久島ぶらぶら”だけ購入することにした。
次に志戸子ガジュマル園へ。最終日は元々、午前中しか時間が無い予定だった。そこを白谷雲水峡に行き、午後に時間ができてしまったので、午前中の予定をこなしてしまうことに。
しかし、外は寒波の襲来で寒い。まるで嬬恋村のようだ。この寒さの中、ガジュマルを見学するのもなんだか変な気分。
こじんまりしたガジュマル園で、水辺のマングローブ林をイメージしていたが全く違っていた。大ガジュマルの樹の前で自分との大きさの比較のため撮っておいた。
海辺を歩くなど、もってのほかの高波(予報では6m)だが、歩く予定だった“いなか浜”にも足をのばしてみる。
いなか浜はアカウミガメの上陸密度が日本一高い砂浜らしい。
5月から7月にかけて、約1kmの海岸線にウミガメが産卵の為に上陸し、最盛期には一晩で20頭以上上陸するらしいが、海水浴シーズン、人間が卵を踏んづけちゃったりしないのだろうか?
若い男衆が打ち上げる波と追いかけっこをして遊んでいる。この高波の中、若いって素晴らしいなあ?
楽しかった屋久島旅行も終わり、群馬に帰る時間に。
帰りの飛行機から冠雪の屋久島が見える。おお、まさに洋上のアルプス。さっきまであの山に登っていたとは、とても考えられない。
30才台最後の誕生日に訪れた夢の屋久島旅行は、自然、森と木々、歴史と文化、そこに営む現在の人々、ホスピタリティ精神…全てが、私を形成するものに深く訴えてきた。私の中に眠っていたものを呼び覚ますものであり、再確認するものでもあった。何より地球人として、ゆるやかに生きるこの島の人々と同調した意識を持っていたいし、同じ方向を向いて歩んで行きたい。
そしてそれ以上に、この世で一番大切なものは何なのかを再認識した。こんなにかけがえの無いものが、私の味方になってくれているなんて、なんてもったいない事だろうと思った。
英美子さん、本当にありがとう。あなたの真心で、私の胸は一杯です。あなたのために、これから起こりうる全てのことを、絶対にやり遂げて見せます。