屋久島旅行 3日目

午前5時。神々の森が明るくなってきた。朝食を食べて、いざ出発。朝焼けの縄文杉に会いに行くのだ。

しかし、ざんねーん。今日も雨。ではもう一枚、ことだまはたくさんいてくれているかな?おお、さすがは縄文杉。周囲はことだまだらけだ。

吉村さんが教えてくれたプレ縄文杉説は、硫黄島付近の噴火の際(6300年前)に倒れた前代の縄文杉の上に立った2代目の屋久杉であるという説。私もこれが一番近いのではないかと思う。理由は、杉は瘤ができても、基本的には上にまっすぐ伸びる性質がある。地上10m位のところであそこまでいったん細くなってしまうのは、ひこばえが出ないはずの杉としてはおかしいと思う。

2代目の杉として上から降りてきた根だから、あんなにボコボコになっているのではないだろうか。地面から上がってきた杉の正しい根であればもっと袴の様に横に広がるはずだ。枯れ株から降りてきた根だからこのような形状になっているのではないだろうか。


  


今日一匹目のヤクシカ。こんなに近くでも怖がらない。

ヒノキの稚木を発見。かつてはヒノキも屋久島にはたくさんあったらしいが、伐りつくされてしまったそうだ。たしかに、屋久杉のように年輪が密なヒノキがあったら、のどから手が出るほど欲しい人がいると思う。

赤茶けた土は、吉村さんの話を聞く前は縄文時代、暖かかった頃の、熱帯気候の名残だろうと思っていたがそうではなかった。6300年前に、屋久島の北北西約40kmの海底に潜む鬼界カルデラが大爆発をおこし、高温の軽石や火山灰が火砕流となって海面を走り、屋久島全土をこの火砕流が吹き抜けたらしい。屋久島の自然を考えるとき、その事件を抜いては考えられないのだ。


  


世界遺産登録地域を通過。吉村さんいわく、屋久島が世界遺産に登録されたのには以下の3つの理由があるとのこと。

☆日本の固有植物で、自然景観の重要な要素であるスギのすぐれた生育地である
☆東アジアの南から北の植物へ、連続的に変化する植生が見られる(垂直分布)
☆各地で急激に失われている照葉樹林が、広範囲に原生状態で残されている

この世界遺産を通過した後に大王杉があるのはなんだか切ないものを感じるが、国内的には国立公園特別保護地区だし、森林生態系保護地域なんだからいいのかな?

縄文杉もそうだが、大王杉もかなりのパワースポットと言われているらしい。以前、吉村さんは火事を前日に消し止めたというお客さんをガイドした際、その方は上部にあるあの穴からパワーをかなり感じていたというが…


  


ギリシャ神話のメデューサのような姿の杉を発見。主幹が折れてしまった後、雪の重みで枝が垂れ下がった。縄文杉のあたりでは、吉村さんは120cm程の積雪を確認したことがあるそうだ。

見えているのはハリギリの巨木。直径2mはある。万座にある幹周4mではとても適わない。

ウィルソン株では上りの人で大賑わい。3月だというのに、今日はお客さんが多いらしい。


  


仁王杉まで降りてきたら、もう半分近く降りてきたということ。仁王杉もよく見てみると、途中からぐっと曲がっていることが解かる。恐らくあそこには古株があったはずだ。それか分解されてなくなり、それを避けて下に下がった根が残ってこの姿になったのなら、プレ縄文杉説(縄文杉2代目説)の説明がつく。しかも、よく見てほしい。初めは幹ではなく根で、やがて幹の代わりをするようになった部分は、段々腹のような紋様(縄文土器紋様?)になるのだとしたら?

ここで一句

 縄文杉 三段腹は 幹か根か      naturekimura


かつての人里、小杉谷集落には石垣がある。当たり前だがここの石垣は花崗岩浅間山山麓の石垣が浅間石と同じように。


  


小杉谷集落跡地のあずまやで、吉村さんが作ってくれた最後の食事はさばぶしラーメン。鹿児島県らしく、さつま揚げが入っている。

最後に、私の大好きな匂い、ヤブニッケイの樹をやっと見つけた。この匂いをかぐと、また頑張って歩けるような気がする。葉の形はクスノキとよく似ているが少し波打っている。よーし、覚えた!


  


今日から2泊お世話になるお宿はお洒落な料理ペンション 苺一笑(いちごいちえ)
http://www.yakusima-ichigoichie.com/

シンプルで雰囲気の良い和室は、私好み。ちゃぶ台も無垢で、湯飲みもセンスが良かった。カメラが一時、調子悪くなって湯飲みは撮れなかった。

ゆっくりお風呂をいただいて、さあ、お待ちかねの夕食へ。おー凄い品数、楽しみ!


  


いろいろとあったが私の日記は料理レポートではないので簡単に。

チレ鯛のから揚げは屋久島名物たんかんのソースで、山菜の天ぷらはハイビスカスの花を混ぜ合わせた塩でいただく。超上品な味わい。一度食べてみたかったつわぶきも嬉しかった。

汁物はトビウオのつみれ汁。なかなか美味い。

デザートはこれも屋久島名物“つのまき”。もち米をダンチク(イネ科)の葉に巻いて、灰汁で煮込むそうだ。これにきなこをまぶして食べる。デザートにしてはちょっと重いかな?とも思ったが、案外ペロリと食べられた。ごちそうさまでした。

2日間の縄文杉キャンプツアーの後だったので、夕食後はもうクタクタ。明日も山だし、今夜はもう寝ま〜す。