エコツアープロデューサー養成講座 初日

googleアラート「エコツアー」で、エコツアープロデューサー養成講習会なるものの情報を得た。日進舘はほとんどもう行っていないので、この講習は受けれるはず。早速申し込んだ。

この講習会は社団法人日本観光協会が主催し、NPO法人日本エコツーリズム協会が実施している。私の企画推進実施しているエコツアーが、この協会とマッチしているものかも知りたかったし、私もこのガイドさん100人プロジェクトの一人であり、活動事例を機関紙に紹介していただくことになったにも関わらず、全く交流を持っていなかったことも気になっていたのだ。

会場は、全国で実際にエコツアーを実施している同志たちの熱気で溢れかえっていた。


第一講はエコツーリズム論(含むエコツーリズム推進法)、講師は真板昭夫さん(京都嵯峨芸術大学芸術学部教授)。アジア太平洋地域のほか、日本各地の自然・歴史・文化資源を柱としたエコツーリズムに関する調査・研究を進めているという。

真板さんはエコツーリズム推進法の制定に深く関わった方で、その経緯や当時の状況の話を丁寧にしてくださった。エコツーリズム推進法制定にあたっては環境省にも国土交通省にも所管が固まらず、またツアー現場サイドでは自然保護と利用促進の両者から往復ビンタの日々であったという。こういう人が地道に、熱い心を決してしらけさせたりせずに、コツコツとやり続けてきたからこその法律なんだと、改めて思い知らされた。


第二講はエコツアー市場の動向、講師は山田桂一郎さん(観光カリスマ百選)。JTIC.SWISS代表。スイス・ツェルマット観光局アジア・日本担当ほか。2005年の3月に、浅間山麓国際自然学校設立準備の際から久しぶりの再会となったが、私のことを覚えていてくださった。なんとありがたい。この方は本当によく市場の勉強と調査をしっかりとやってきている。資料も大変に良くできていた。マクロ経済的視点からも観光市場の現状を正確に捉えていた。『観光産業から感幸産業へ』「勝ち残る」のではなく「価値残る」ために、「非日常」と「異日常」など、いい言葉と勇気をたくさん与えてくださった。


  


第三講はエコツアー先進地域の事例紹介。今回は第四講のエコツーリズムと地域振興と同時に実施した。


一人目は吉井信秋さん。小笠原エコツアーガイド「マルベリー」代表。ダイビングやホエールウォッチング、ドルフィンスイム、シーカヤックなどの水辺のプログラムの他、独特の植物相を持つ小笠原のネイチャーガイドやナイトツアー、戦跡探検等のプログラムを実施している。小笠原の場合は、訪問者の大半が“エコツアーをしに小笠原に行く”…という状況でもあるので、正直なところ、うらやましいなあ…と思う気持ちもあった。


二人目は松田光輝さん。株式会社知床ネイチャーオフィス代表。(財)しれとこ財団普及事業担当を経て独立。資本金1000万円・スタッフ8人で起業した。プログラムの中にはヒグマの巣痕に入ってみるというのがあり、当時は危険だということで村の議会で紛糾、議員全員で視察に来ることになったらしい。流氷ウォークという人気のエコツアーがあるが、地元の漁師さんが漁のオフ期に始めたことなので競合してしまうので。彼らがやっていない、スノーシューツアーなどを行い、それらを組み合わせてパッケージ商品として販売しているのだという。競合を避けて、逆に旅行業者との橋渡し役をしている。「安いから来るのではなく、特別な体験ができるから来る」という言葉に重みがあった。


三人目は楠部真也さん。株式会社ピッキオ取締役。ピッキオではマーケティングを担当し、現在は当協会の理事も勤めている。軽井沢を中心にさまざまなエコツアーを企画実施し、私も顧客の一人である。私がエコツアーをやっていこうと思ったきっかけのうちの一つが、2002-2003年頃にピッキオのイベントに参加してみたことの影響が大きい。野鳥の森ネイチャーウォッチングは現在2,000円だが、スタート時は1,000円からであった。「“ただの森”でビジネスとして成り立つのであれば、巨額な投資をしてスキー場やゴルフ場を作る必要はなくなるのではないか?」と考えるピッキオは、この業界の先駆者であるが、現在は野鳥の森でもピッキオを使わずに自分達で散策する人も増えてきており、「新たな課題に対してアクションを起こすべき時である」と仰っていた。


このような各地の猛者達が講師陣となって、エコツアープロデューサー養成講習会は進められていく。


  


第五講はエコツアープロデューサーの役割。安田亘宏さん。株式会社ジェイ・アイ・シー執行役員旅の販促研究所所長。JTBに入社して旅行営業、添乗経験を経て販売促進・マーケティング・事業開発の実務責任者を歴任しお現在に至る。「旅の売り方入門」など著書多数。

エコツアープロデューサーといっても、具体的にいったい何をするのか?そもそもプロデューサーとはいったい何なのか、何に責任を持つのか、何を全体統括するのか…という、何を受講しに来ているのかという基本事項を押さえた上で、エコツーリズムに対する消費者調査を見ていく。エコツアーの経験者+内容知っている人は徐々に増加しているが、参加したい人は近年減少傾向にあるのだ。料金、情報不足、天候、時間、体力への不安などのマイナス要素をいかに情報開示をうまくやり、スムーズにエコツアーに結びつけるかがキーとなりそうだ。また、エコツアーのテーマの人気順位は、

1.動物系
2.歴史・伝統
3.植物系
4.生活・文化
5.山・高原系
6.海・川系
7.農林業体験
8.その他

となっているという。なるほど、ピッキオが強いわけだ。

最後はメディアとのコミュニケーションについてのお話があり、終了。やはりインターネットの効力が一番かなあ…と。帰ったら急いで私のHP作成技術を更新しなくては。

初日の講習が終わり、交流会へ。私は今のことろこの協会ですぐに目立つつもりは無いので、そのままの席で飲み続けていた。何人かの方とは深くお話しすることができて良かった。