木を癒す―樹医として歩んで (対話講座 なにわ塾叢書)


木を癒す―樹医として歩んで (対話講座 なにわ塾叢書)




  大阪府なにわ塾(編集) 山野忠彦
  価格:¥638(税込)
  文庫:191ページ
  出版社: ブレーンセンター(1991/11)
  発売日:1991/11
  発売日:2002/08
  商品の寸法:15.2x10.6x1.2cm



山野忠彦氏の本は、以前に【木の声がきこえる―樹医の診療日記】で読んでいたのだが、先日の樹医養成セミナー最終講で他の受講生の方に薦められ購入した。対話形式の本は苦手なのだが、師と崇める山野先生の本なので興味を持って読み進めることができた。



前半は山野先生の生い立ちに関する内容なので、【木の声がきこえる―樹医の診療日記】を読んだ方が詳しく載っているのだが、中盤以降、P133に、治療した木に特級酒をかけるのは止めてもらった話から急に親しみが湧いて面白くなってきた。先日、私は大阪読売新聞社前のイチョウの木に酒をかけたが、あれはやはり迷惑だったのか。その木の話も出てきた。やはり伐ろうとして死人が出ているようだ。P157にはイチョウの木は庭に植えるとその家は泣き言が絶えないという話しも出てきた。本当か!?



しかし山野先生は直感的に生きる、でたらめな所があって面白い人だ。P144では診てほしいといわれた桜の木に行ったら凄い臭気がして、聞くと土葬していたので堪忍してもらったとか、ウナギを食べ過ぎて病気になり、自分で牛乳ばかり4ヶ月飲んで治したとか、木の手当てをしている時に、先生の顔色があまりにも悪いのでみんなが「帰れ帰れ」という、帰って医者に診てもらったらすぐ入院しなさいと言われるがこれは困るので漢方医のところへ行った。そうしたら、「あんたの心臓、一週間止まってる、死んでいるんじゃないか、いや、おかしいな」と言われた。漢方の薬を十日間飲んだら心臓が動き出したらしい。ゲーッ!この世の者ではない???



他には、P164木の幹枝を切ってトタンで防ぐと病害虫の温床になる、P167自由さが人間をしっかり育てる、P118黄門杉に施したのはオーケー剤というイオン水であった、P129パーライト開発の話、特許を取って真似をされてきた→だからカールコートのつくり方は公表しない…などなど、話題盛りだくさん。山野先生を知るには、本書も読んでおく必要があると思った。



P177のやり取りを読むと、山野先生は松枯れ病の仕組みについては知らなかったようだ。松枯れ病の仕組みがわかったのは最近なのだということが解かった。