阿弥陀堂だより


  【阿弥陀堂だより (文春文庫)



  南木佳士(著)
  価格:¥530(税込) 文庫:237ページ
  出版社:文藝春秋(2002/08)
  発売日:2002/08
  商品の寸法:15.2x10.6x1.2cm



ひょんなことから嬬恋村三原の阿弥陀堂を絡めてのインタープリテーションをすることになった。映画「阿弥陀堂だより」の原作が本書である。作者の南木佳士嬬恋村三原出身。今回のウォーキングコースに生家もある。私は小説には興味がないのだが、この場合、インタープリテーション職人としては読んでおかない訳にはいかないだろう。時間を取って読んでみた。



内容(「BOOK」データベースより)作家としての行き詰まりを感じていた孝夫は、医者である妻・美智子が心の病を得たのを機に、故郷の信州へ戻ることにした。山里の美しい村でふたりが出会ったのは、村人の霊を祀る「阿弥陀堂」に暮らす老婆、難病とたたかいながら明るく生きる娘。静かな時の流れと豊かな自然のなかでふたりが見つけたものとは…。



映画「阿弥陀堂だより」は割りと好きな映画で、何回も見ている。ロケ地の飯山自体が私の大好きな場所であるし、その飯山を美しく撮り紹介してくれている。人情味溢れるお話も大好きだった。要するに山村飯山に暮らす人々の、命の営みの物語り…というシチュエーションが好きだったのだ。中でも96歳のうめさんの、人生の問いへの的確な回答っぷりが好きだった。



その飯山が地元嬬恋村三原だったということはとても嬉しいことであるのだが、小説では映画にはなかった主人公の孝夫と美智子の出会いや交際の物語がかなりのページ数を使っており、早くその章が終わってくれないかと思ってしまった。そんな色恋のお話ではなく、主人公とうめさんとのやり取りが読みたいのである。やはり小説は私には向いていない(笑)。



しかし、とても心温まるお話であることには間違いない。嬬恋村三原インタープリテーションの前に読んでおいて良かった。