万座ジャンボカラマツ林スノーシューツアー 午前の部

今日は嬬恋村インタープリター会のスノーシューツアーイベント日。半日¥1,500はまずまずの料金設定だが、ラジオ宣伝も効いて最終的には一般17名、会員1名、スタッフ5名の参加となった。まずは午前中の様子のレポートから。

今回は、これまで沈黙を守っていた赤坂さんがガイドに名乗りを上げた。そう、赤坂さんの大好きな材であるカラマツの母樹林のガイド。黙っているわけには行くまい。

そんなことで、前半は赤坂さんのガイドっぷりを追うことになる。真ん中は仁王松の前で。


  


ガイドとしては初めてだが、これまで会のイベントや研修を十分に受けている赤坂さん、とても初めてとは思えない余裕のガイドっぷりを見せてくれた。さすがお気に入りの木材についてだけあって、お話も感情移入した、熱いものを語ってくれた。ガイドの仕方をマニュアル化した方が良いと言う人もいるが、それは違うと思う。それぞれが違うことを言ったっていいじゃないか。自分でよく飲み込めていない、教科書に載っているだけのお話なんか、何の価値があるというのだ。ガイドが自分自身の目で見、触れ、感じてきたことを話せばよい。

赤坂さん「では、私がこの森で一番好きな木を紹介します」と言い、大いなる母の木(ショハーの木)にお連れした。


  


赤坂さんのお話は理屈だけでなくボディランゲージも大いに使っている。山男らしい髭だけでも目立つのだが、さらに注目させることに成功している。

大いなる母の木は胸高直径が90cm位なので、幹周りが283cmくらい。ちょうど大人が二人、両側から手を伸ばすと、もう一人の手をつかんであげることができるのだ。カップルなんかには、こういう写真を撮ってあげるのがいい。

赤坂さんは、最近解体したクライアントの建物の外壁の一部を持ってきた。この外壁はもちろんカラマツ。昭和27年(1952年)に建てられたものなので、その時樹齢80年のカラマツであれば136年前に芽生えたカラマツ…という理屈だ。そして、このカラマツ母樹林が136年前よりももっと前から母樹林として機能していたなら、この外壁は母なる木の子供である可能性がある。

「里帰りさせてやろうと思ってね」なんて言って、板切れをそっと母なる木の根元に置いていった。


  


このすぐ横にある戦国カラマツは、戦国時代から生きているのではないか?ということで名前がつけられたもの。一本がこうなったのか、三本が合わさってしまったのか見当がつかない。それでも、やはり人気のカラマツ。参加者はなかなかそこから離れようとしない。

ここから次の草薙カラマツに向けての道は、ちょっとした高台になっている。尾根を歩いているようで気分がいい。


  


この圧倒的な量感の前では、インタープリテーションなど必要ない。国内最大級のカラマツ、草薙カラマツ。

この樹のまとうオーラは別格。王者の風格そのもの。参加者たちは別れを惜しみ、何度も幹肌に触れ、このカラマツが記憶する悠久の時に思いを馳せていた。


  


草薙カラマツを出て100mも進むと、一気に視界が開け広大なカラマツ一斉林の中を進んでいくことになる。ここでは赤坂さんは大まかな方向だけ指示し、「好きなところを歩いてください。ご自分の足跡を残しましょう」と言った。

昨夜降った5cmほどの雪のじゅうたんの上を、参加者は自由に歩き進み、自分の足跡が白い大地に初めて、そして次々と記録されていく様子を楽しんでいた。


  


次のポイントまでのこの間は、結構時間がある。参加者が自由気ままに歩いて楽しんでるので、私も適当にぶらぶら進んでいくと、激しくヤニを出しているカラマツがあった。

近寄って見てみると、どうもこのヤニは、最近出したもののようだ。触ってみるとまだやわらかくべたべたしている。しかし、だからと言ってこの冬の凍裂の跡ではないだろう。冬は活動を停止してしまっているので、少なくとも昨冬以前だ。


  


赤坂さんがようやく腕を上げ、何かを示した。「あそこにダケカンバの林があります。きれいな一斉林のダケカンバ林です。そしてあの林の真ん中には、そのマザーツリーがいて、子供立ちがそのマザーツリーを守っているのです。」

ダケカンバのマザーツリー「しなやぎカンバ」に向かい、この樹の懐で休憩することにした。


  


そしてここではお茶とチョコレートでおもてなしをすることにしている。お茶はただのお茶ではない。ネイチャー木村特性のお茶、「カバノアナタケ茶」なのだ。

現在100g¥2,500位で取引されているカバノアナタケ。そのSOD含有量、市場の評価、めったに取れない希少性をお話したとたん、おかわりの出ること出ること!

とにかく、このお茶はやっぱり人気だ。チョコレートも好評のようだし、では私もホテルに帰って、自分の担当・午後からのガイドの支度をしよう。