シンガポールの人たちをスノーシューへ



今日は、6月に、本白根山にご案内したシンガポールの李さんご一行様がまたお越しになった。雪や氷と戯れる自然案内を期待していらっしゃるので、得意のスノーシューネイチャーツアーをすることにした。今日は牛池あたりでぶらぶらやる。


スノーシュー合わせ等を行い、玄関に出たときはすでに午後3時を回っていた。(万座の)日没まで1時間少々。さて、何のお話をしようかな・・・。


・バンブー、竹、笹と台風の話
・ナナカマドの実の話
・(広葉樹の)冬芽が熱帯から極地に進出する際、サバンナで身につけ日本に来た話
ミズナラの話、キング・オブ・ザ・フォレスト、ゆずり葉の話、紳士とヤンキー(アメリカ?)の話
・シラビソの樹脂とフィトンチッドの殺菌作用の話
樹氷と降雪機が作ったものの違いの話
・倒木更新と根上がりの木の話
・リスの足跡とリスの話


この辺のお話をした。しかし、なんと半数以上が聴覚障害の方だったので、私の説明を英訳する人がいて、さらにその英訳を手話で説明する人がいる状態だった。うーん、インタープリテーションが伝わっているかどうか?


それにしても、雪を見るのが生まれて初めてなので、はしゃいではしゃいで凄いこと。インタープリテーションなんて本当に彼らに必要だったのかどうか。とにかく、楽しんでくれている。良かった良かった。


  


今日は、カラマツ天然母樹林にご案内することにした。ここには、治山工事用の作業道があり、その道の笹が刈ってあるので、まだまだ積雪量が少ない現在(30cm未満)でも十分にスノーシューで歩くことができる。


森の中でお話したことを思い出してみる。


・松と日本人のお話、神道、語源のお話
・ウサギの足跡の特徴のお話、ウサギの森林生態系における役割の話
・雪の重さのお話、それと木の関係のお話
・雪の降るお話、結晶のお話
・カラマツを植林する話、日本の木材輸入状況の話、木造建築、法隆寺1,300年の話
・日本一太い「草薙カラマツ」の他、「戦国カラマツ」「マザーツリー」の紹介
・同じ樹種でも、老木は触ると温かい?の体験
・笹舟の作り方、笹ひしゃくの作り方、笹の利用について


とまあ、こんなもんだったかな。体験みたいなことも結構やったのでまあまあ、大成功だったと思う。


このような外国人、特に森林の無い都市国家の方々を森に案内するネイチャーツアーに、私はとても大きな可能性を感じている。日本人を自然案内しても、なかなかここまで感動してくれることは少ない。森林のある自然環境に飢えた外国人旅行者たちを、日本の美しく多様な森にご案内して、そこで日本人と自然の位置関係や、日本人と森林のかかわり、考え方をお話しする。


今年は、観光立国推進基本法が成立し、観光事業従事者の知識と能力を向上させることや、地域に固有の文化・歴史等に関する知識の普及が求められている。


観光立国推進基本法
http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO117.html


私たちが魅力ある国際人としての日本人であるためには、私たち自身が日本の伝統と文化を表現できるものを身にまとう必要がある。そうでなくては、外国人は日本を満喫できないではないか。はるばる日本に旅行に来てあなたと接しながら、例えばアメリカのことばかり考えさせられてはつまらないだろう。また、眩いイルミネーションの中、有名ショップが立ち並ぶ都会に魅力を感じている外国人は初めから新宿や渋谷に行くであろうし、それをマーケットにする必要は無い。山では山のもてなしと、都会には無い、山にしか残っていない日本の伝統を、心をご案内したい…という思いを新たにした。


じゃあ、私が表現できる日本とはなんであるか? ああ、もう一度剣道やり直してみようかな…。