生命系 ― 生物多様性の新しい考え


生命系―生物多様性の新しい考え


  • 岩槻 邦男(著)
  • 単行本:271ページ
  • 出版社:岩波書店(1999/02)
  • 商品の寸法:18.4x13x2.4cm
  • ¥2,625(税込)



−出版社/著者からの内容紹介−



生物は今という時を個体だけで生きているのではない.ほかの生物とさまざまな関係をもって,生命発生以来の広大な時空間のなかに生きているのである.この生命活動を「生命系」と名付ける.その本質をさぐると,生物多様性の重要性とともに,自然と共存する地球を創成していくことの責を人間が負っていることがみえてくる.



グリーンセイバー資格試験の制度やテキストを監修している岩槻氏。マスターテキストに本書の紹介があったので読んでみた。内容は、個別に見れば改めて新しい発見がある訳ではなかったが、本書では一貫して生命30億年の歴史、祖先の歩みから生命の本質を考察し、理解していこうとする姿勢を貫いている。この時間と空間を超越した生命系という捕らえ方から、私も君も、蟻もヤマザクラ大腸菌も、すべての生命が30億年の歩みから生まれたかけがえのないものである…というところに落とし込んでいく。



私の行いたいインタープリテーション、感動を与えたい生物多様性のお話にとても通じるところがあるのだが、筆者の文章が回りくどすぎて、読むのに一苦労することだろう。シンプルなものを題材に選んでいるにもかかわらず、一般人には理解するのに時間がかかりそうな文章だ。こういう良書が、専門家にしか読まれないのはもったいない。しかし、個人的には好きな本なので、何度も読み返したいと思っている。