樹医をめざすあなたへ ― 樹木診断ハンドブック


樹医をめざすあなたへ―樹木診断ハンドブック (Gakken ECO‐BOOKS地球市民として暮らす)


  • 山本 光二(著)
  • 単行本:181ページ
  • 出版社:学習研究社(2001/08)
  • 商品の寸法:20.8x14.8x1.6cm
  • ¥1,680(税込)



私は今、この人について修行をしている。講義の際も「物言わん木の心を理解するには…」というようなビックリするような言葉を仰られる。しかし、本当のところ、私にはその仰られていることの意味するところは良くわかるのだ。そして、樹木と完全に共生を得ていたはずの私たち人類は、全員がかつては木の心を知っていたはずだ。



以下は、本から抜粋する。



「…私は、人間のエゴイズムや利便性の行き過ぎに警鐘を鳴らしているのが老巨木ではないかと思います。樹木の治療は、人間活動のために傷つき弱っている木を治療し助けると同時に、その行為を通して老巨木の警鐘を人間社会に対し代弁することではないかと感じることがあります。「木を失った大地はもう大地ではない」のです。」



「…木を大切にしようと思えば木が生育できる条件を整えてやり、その環境を長く維持してやらねばなりません。場合によっては日常の管理を我々が手伝ってやらなければならないこともあります。これらの条件は利便性の追求とは逆行することがほとんどで、暮らしを慎ましやかにしたり、汗をかかなければならなくなったりします。今の暮らしに慣れた私たちにとって、木を大切にするということは一大革命であるといえますが、木のことまで考えた暮らし方に思いを馳せることができたら、それが地球の未来を握る鍵のように思えてなりません。」