インタープリター養成講座2007 6日午前

●講座1. 自然の理解(3 時間) 講師:唐沢孝一

プロフィール:自然観察大学副学長 埼玉大学教育学部講師 都市鳥研究会代表 日本鳥学会評議員など

当会のインタープリター養成講座チラシにも、「インタープリターとは、自然からのメッセージを皆様に解りやすくお伝えし…」と書いてある。解説者としてインタープリテーションするためには理論的に説明するための体系的な理解が必要なのだと、一般的な学校教育を受けた者なら誰しもがそう思っているであろう。むしろ、有名大学を卒業した者ほど、そこに陥りがちである。しかし、その体系とは一体なんなのだろうか。所詮、人間程度が現代の科学技術レベルで理屈をこね回し、合理的にデザインしただけのものであり、陥った側の人もさすがにそれが宇宙の真理を捉えているとは誰も思っていない。唐沢講師の講義資料、「ま〜るい緑の山手線」には、以下のように書いてある。

“……人間という動物は、自然をあるがままに観察するというよりも、より理解しやすいイメージやデザインに置き換えて頭脳に取り入れようとする。だから、皆が同じようなイメージを抱けば、世の中が同じように見えているに過ぎない…自然科学の分野は、より客観的な事実を積み重ねて成立しているように見える。しかし、その根本にあるものは、より合理的であると判断されたデザイン(理論)は受け入れられ、不合理と判断されれば受け入れられないに過ぎない……宇宙や地球の誕生も、生物の進化も、究極のところいかに合理的なデザインを描いているか否かが取捨選択の基準になっている……”

嬬恋と千葉、国技館…長い歴史をたどるとこれらのことが繋がってくる。物事には歴史があり、その過程をたどらなくては背景にある深い部分が見えてこない…というお話からスタート。何も知らないと何が起こっているかもわからないのは確かだが、知識があるからそれが邪魔して見えなくなることもある。自然のあるがまま、そのままをよーく観てほしい…のお話を第一部、そして第二部ではホソミオツネントンボなどの写真を通して、自然観察の面白さを熱く語ってくださった。また、駄洒落を入れるタイミングも絶妙で、こんなにお話の上手な先生は滅多にいない。講義の間笑いが耐えなく、初日の第一講、緊張していた参加者も程よくリラックスできたのではないだろうか。唐沢様は日本を代表するナチュラリストであり、郷土嬬恋の誇りである。