月の本 ― perfect guide to the MOON


月の本―perfect guide to the MOON

  • 著者 林完次
  • 出版 角川書店(2000/07)
  • 単行本179P
  • ¥2,625


「MARC」データベースより…太古より我々が語りつぎ、詩を詠み、祈りをささげてきた「月」。この不可思議なる天体の魅力を、文学・天文学・人類学・美術にいたる、あらゆる角度から紹介した、月のトータルヴィジュアルブック。97年光琳社出版刊の再刊…とある。



サンゴの産卵、満月の夜に海面に浮上するエビ…月は間違いなく地球の生命リズムに影響している。例えば先天的に盲目であった男性は、体感しない明るさではなく、太陽の2倍ある月の引力に睡眠リズムが支配されていた。太陽の1日のリズム24時間ではなく24.8時間である。また、月の引力が弱まる上弦・下弦の月の前後に交通事故が多いという。引力が強く働く満月や新月の時は緊張があるが上弦・下弦の月の頃は気が緩んで集中力が低下するのだという。この第5章【月の神秘】を書いた竹内均さんの文章は面白い。〔月と狂気〕の節、狼男の話も面白い。



世界の月の伝説、月のことわざ、アポロ11号とヒューストンの会話…、世界中の人々の月に寄せる思いがぎっしりと詰まった一冊。どんな分野の人でも満足できる章がきっとある。読み始めは私にとってつまらなく感じたが、全てを読み終えた後は誰かに贈ってあげたいとまで思った。



第6章【月の図像学】を読むと、科学技術的な根拠を求めるのに偏りがちな自分であるが、人々の自由な想像力を反映し続けた月をもっとファンタジックに、感覚的に眺めていたいと思った。