ミツバチのたどったみち ― 進化の比較社会学


ミツバチのたどったみち―進化の比較社会学

  • 著者 坂上昭一
  • 出版 新思索社; 新装版版 (2005/07)
  • 単行本341p
  • ¥3,675


間もなく我が社(万座温泉ホテル)ではプロポリス(ミツバチが花目や樹皮から集めた成分とハチ自身の唾液が混ざったもの)の販売を開始する。この生まれて初めて聞く“プロポリス”というものについて深く理解しておくようにという指令が出てしまった。潔くミツバチの生態から理解しようとして選んだ一冊目が本書である。



しかし、どうやら買うべき本を間違ってしまったようだ。



本書はミツバチの極度に分化しきった集団構造がどのようにして出現したのか、その起源と進化してきた道を探っていくものであった。読み始めてすぐに「これは違う」と気づいたが安い本ではない。仕方なしにとりあえず読み切ったが、原始的な種と思われるハチから、さまざまのハチの紹介があり、やっと最後の方でミツバチにたどり着いてもその基本的な生態についての記述は少なく、私にとって荷が思い高度な内容が95%を占める。骨の折れる読書だった。



しかし、いろいろなヒントはあった。

…ハチの幼虫に見られる退化現象について…ジュラ紀には存在したハチ、植物食→昆虫食(腰のくびれ)→植物食への変遷…巣材の松ヤニ利用による防腐効果から自家製ロウへの進化…等。中でも、ミツバチとセイヨウミツバチの混群をつくる実験はなかなか興味的な内容だった。