万座天然母樹林〜弁天池周遊コース



故干川文次氏(コマクサ園館主)がかつて「白根山とともに」に寄せた寄稿の中に

・昭和13年7月、草津営林署の知野署長に本白根山に案内され、「当署館内で自慢できるのは、このコマクサと白根沢のカラマツの母樹林だよ」と言われた
・昭和37年、ドイツのショハー博士がカラマツの母樹を見に来たとき、1本の大きい木の下に行き木肌に手をかけ、懐かしそうに見上げ「この母樹の種がドイツでは生育が良いので、その母樹を見に来たのだ」と満足そうな顔をした…

との記載がある。そして先日、確かに見たこともないカラマツ巨木を発見した。常連の高島先生や浜田先生達がお見えになったのでご案内させていただいた。

まずは1本目のカラマツ。胸高直径は地面から120cmの位置で計るのだが、積雪が何センチあるのか解らない。しかし、1mはあると考え、180cm高位で419cmは、現在の日本一のカラマツ巨木、長野県楢川村のジャンボカラマツ408cmを上回っている。これは早速申請だな。

参考「森の巨人たち百選」
http://www2.ocn.ne.jp/~kyoboku/P3.html


  


そしてもう一つ、巨大カラマツ発見。こちらの方が一回り太い。そして雪が吹き溜まりになり低い位置でメジャーをまわせない。

積雪1mだとしても2m50cm程の高さ位置、しかも20cm以上の太さの枝の上で測った…それでも412cm。一体雪が解けたらどんな姿を現すんだ!?

この場所は天然母樹林の中でも少し高台にあり、カラマツ群落植生とこの広大な地形を形成する理由となったであろう恐らく数百年前の土砂崩れの際に、攪乱を逃れたのではないかと考えている。だからこの場所には周囲と掛け離れたサイズのカラマツが残ったのだろう。


  


弁天池付近に入ると、植生はがらっと変わる。こんな大径木が立ち並ぶ場所は、崖崩れ・地滑りが多い万座でも大丈夫なのかな?と少し思ったがそれは気のせいだろう。熊池付近にも大きな樹はあったから。

ここで見たトウヒは今まで見た中で一番太い。180m付近で360cmはなかなか無いだろう。

そのすぐ脇には、樹洞が形成されたコメツガの枯死木があった。この付近で9月頃、(恐らく)トラフズクの声を聞いている。針葉樹林では樹洞が少なく大丈夫なのかと心配したが、こんな洞をうまく利用して繁殖してくれるといいなあ。


  


カラマツ天然母樹林へと移動する際、若齢ダケカンバ一斉林の中心に、巨木ではないがダケカンバ老木とシラビソが仲良くたたずむ場所がある。開けた森の雰囲気もいい。ここでお弁当を持ってきて食べるのも良いし、体験学習の際にここで針葉樹と広葉樹の話や森の更新の話をしても効果的だろう。

帰り道にあった大きな吹き溜まりは2トンくらいあったろうか。例えば下見の際に、これにスプレー等で色をつけて鯨や鮫にしておいて、当日連れて来たら喜ぶだろうなあ。森の動物達はビックリするだろうけど。

ホテルを出発してから3時間〜3時間30分のコースだった。カラマツ天然母樹林〜万座の天然林(針葉樹林)周遊コースの完成である。初心者でもこの時間歩ければオッケー。とても魅力的なコースだ。