もくり炭焼き講座
昨年の炭焼き講座は2日間のうち1日出れなかったので、今年もう一度おさらいに行った。少し長くなるが2日間のいいプログラムなのでぜひ紹介しておく。
真田町の炭焼きは伝統的に白炭。白炭に場合、一度火を入れたらその後3〜4ヶ月に焼きっぱなしとなる。今回は今シーズン初の火入れとなるためなかなか火がつかない。この作業をスタッフやOBが行い、その間、参加者は竹炭の体験を行なう。
見ての通り、一斗缶の下部両側に火を入れる穴と煙の出る穴をそれぞれ開けたものを地中に埋め、着火する。火かついたら煙突をつけたし蓋をして蒸し焼きに。長くした煙突下部にうまく受け皿を作り、竹酢をとる。一斗缶で1リットルの竹酢がとれる。
その後、炭俵作りをするのだが、全て自力でやるこの講座では、わら打ちも縄ないも自分で行なう。この縄ないが結構面白い。一尋半(ひとひろはん=2,7m)の長さに編んでいく。
縄ができたらカヤを必殺のカヤ織機で織り込んでいく。この構造、よくまあ考えたものだ。この突起物で折り返してカヤを編んでいく。
縄一尋半の長さで編むと炭俵がちょうどいい大きさになるのだという。最後の部分はトチ結びで決める。この“トチ結び”はかなり使える。覚えておいた方が良い。
俵の上下には柴を丸めてはめ込み丈夫にする。よくしなる木を使うがない場合は雑木でも暖めてやるとよくしなる。
底の縄を交差させ、炭を詰める準備をして1日目の作業はおしまい。この間にメイン炭窯はスタッフにより火がつけられ、窯口をふさがれている。炭焼きは進んでいく。
2日目の紹介は少し内容が前後するが、ベト作りもきちんとしていて良かった。
1.すぐ脇の斜面をスコップで掘り起こし、荒い網へ放る
2.さらに目のもう少し細かいふるいを使い小石も取り除く
3.窯口の脇で水を土を混ぜ、土団子(ベト)をつくる
丁寧に行程があるのが尚更良いのだ。
いよいよか炭出し開始。『気持ちを鎮め動きは素早く』なんて言うが冗談じゃない。灼熱の炭の林を、顔中涙か鼻水か汗か解らないものにまみれながら行なう。炭は長く崩れてない物、形の良いものが神事用、飾り物用として用途があり高い。赤いうちはとても脆い炭を、出しカギで灼熱地獄から丁寧に掻き出すのだ。
炭灰をかけ鎮火させた後、ふるいなどで炭を選り分け炭俵に詰める。これは大変な作業だ。
この道40年の達人・山宮正人さんの話を少し。
・窯には女石(赤い石)を使う。男石(青い石)は硬く見えても熱に弱い。すぐ割れる。女石でも2年で割れるのでその都度取り替える。
・炭窯作るにゃあ、女石を100しょい(背負い)したもんだ。俺達は1回で60キロしょったから、6トンは使うなあ。
・真田町の炭は白炭。黒炭にはガスが含まれ、すぐ着火するが持ちが悪い。白炭は黒炭の3倍持つ。しかもガスは出ないので、家の中で使うこたつには最適だった…
・炭焼きする木は、根元から伐った。土を少し掘り下げてまで、目いっぱい根元から伐ったもんだ。根元の方が硬くていい炭になったからな…山から木を伐り出す時もその方が引っ掛からずに下に転がしやすかった。
・ミズナラよりもコナラの方が火は長く持つ。炭にすると原木は1/10位になる。
この講座では、炭焼き後の窯の余熱で料理を作って楽しむ。これも地味な炭焼きを明るく楽しくするいい演出だ。
レーズンパン、シナモンとバターの利いたアップル、さつま芋、わさび入りピザ等…
これは、うまく宣伝すれば人気のイベント間違いなしだ。
この余熱で、さらに花炭を作って遊んでしまう。午前中、炭出しする前に山に行ってそれぞれ思い思いの実や花、松ぼっくりをゲット。それを一斗缶に入れ蓋をし、余熱の残る炭窯へ。炭窯が冷えた頃にはおおよそできあがっている。
ムラサキシキブやマムシグサなど綺麗な色の実はもったいないような気もしたが、黒光りした花炭を見て、なるほどなと思った。