森林観察会in玉原

今日はぐんま森林インストラクター会の行事。秋のブナ林と小尾瀬と呼ばれる玉原湿原を散策する森林観察会。僕も楽しみにしていた。

今日の第2班の講師は小林さんだった。…しかし次第にブナ林に近づくにつれ、どうも皆の動きが地面を這うようになる。あらま、雨の中来た理由は俺と同じだったのね。

これが、楽しみにしていたブナの実。左が果実を包む殻斗で、右が果実。それを剥いたのが真ん中。初めてフレッシュでいただいたが、クルミを上品にした様な味がして美味しかった。


  


まず、はっきりさせておきたかったのはヤマウルシの実が食えるかだ。先生達は口をそろえて「ああ、食べれるよ。」って言った!なんと?塩の味は今回もしなかったが、よほど敏感でない限り実を食べて消化器官がかぶれる事は無い様だ。

ウワミズザクラの蜜線は葉の方にある。葉の基部付近、両側の2点が見えるだろうか。名前の由来は、材の上に溝を彫って占いに用いたことによる。

ブナの若枝には芽鱗痕が残り、幼樹はこれで樹齢が解る。今日見たものは年間15〜20cmの割合で伸びていた。


  


ツルシキミ(ミカン科ミヤマシキミ属)は誤食すると嘔吐や手足のしびれなどの中毒症状が現れる。「悪しき実 」から「あ」が取れてシキミとなった。ミカン科なので日にかざすと油点が現れる。

しかしこれが奇妙で、この時期に蕾でいるものもあった。このまま雪の中で越冬するというのだ。

似ているのがこれ、ヒメモチ(モチノキ科モチノキ属)。ヒメモチの実は一番上ではなく、少し下についている。


  


モクレンの集合果が落ちていた。これでもだいぶ強い香りを発していた。

その兄弟分、タムシバモクレンモクレン属)も小さいが似た集合果だ。花の時コブシと違い葉を出さない。

ブナ根元の洞周りの苔がきれいにはがれているのは、何か小動物(恐らくアカネズミ)がここを利用していた痕跡なのだ。


  


ミズタマソウ(アカバナ科ミズタマソウ属)は果実の白い毛が水玉に見える、または朝露の日はその名の通りになる。

サラシナショウマは穂状花序(すいじょうかじょ)で、花は全て中心から放射状方向を向き咲いていると思っていたがそうでは無かった。これを見よ。全部上(太陽のほう)を向いていたのだ。知らなかった。

何かと思ったらジャコウソウ(シソ科ジャコウソウ属)の実だった。


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クロモジの実は黒く熟す。しかし実からは例の独特の良い香りはしなかった。

サワフタギ(ハイノキ科ハイノキ属)の実は瑠璃色で美しい。ルリミノウシコロシという別名は、実の色と材を牛の鼻輪に使ったことに由来する。

コマユミ(ニシキギニシキギ属)は、ニシキギの枝にコルク層の翼が発達しない品種をいう。野鳥が好きらしいこの種の種を噛んでみたが生臭くって食べられたもんじゃない。


  


ミヤマガマズミ(スイカズラ科ガマズミ属)はガマズミと裏面の毛のあり方で区別するしかなさそうだ。実は美味い。

エゾユズリハトウダイグサ科ユズリハ属)はユズリハの変種。多雪に進化し樹高が低い。1〜3m。雌雄異株。

ハイイヌガヤ(イヌガヤ科イヌガヤ属)も多雪に進化した種。その実は食べられる筈だが、僕にとっては好みの味ではなかった。


  


ブナの老木にはいろんなものがいる。左は幹からオシャグジデンダ(ウラボシ科)というシダが出ている。デンダとはシダの一種の名。

沼田の名木100選の「玉原ぶな平のブナ」には、?ヤシャビシャク(ユキノシタスグリ属)が。寄生植物であるがスグリ同様の実がつき美味しいのだという。

?そして、ツキヨタケ(キシメジ科ツキヨタケ属)がびっしり。このきのこを食べると1時間でにわかに嘔吐、腹痛、頻繁な下痢、見るもの全て青色に見えるという地獄を味わいます。


  


イタヤカエデの老木の樹洞にはササクレトヨタケ(ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属)が。古い畳を外においておくと出るらしい。しかしこれが味区分Aとして美味いキノコとして図鑑に出ている。やがて子実体は液化し、黒インク状となって滴下する。この滴には胞子がたくさん入っていて、水に流れて散布しているのだ。

先日料理して食べたヌメリツバタケモドキ(キシメジ科ツエタケ属)もずいぶんある。同じブナ林、ある訳だ。

ナラタケ(食)もずいぶんあった。ホウキタケの類が左上に見えているが、この種では食えるのは一種のみ。それ以外は覚える必要は一切無い。


  


ヌメリスギタケモドキはずいぶん目立つところにあったのに誰も採っていなかった。

モエギタケ(モエギタケ科モエギタケ属)は緑色で色鮮やかなキノコ。可食とされるが、特有の癖があり一般的でない。

ブナハリタケ(エゾハリタケ科ブナハリタケ属)は、コース上では見つけられなかったけど、森から出てきたカップルが持っていたので写真を撮らせてもらった。まだ食べた事のないキノコだが、味の評判が良くないので食べる気なし。


  


アクシバ(ツツジ科アクシバ属)は、嬬恋にあるヒメウスノキによく似ている。花の時期でないと区別できない。

ツルアリドウシ(アカネ科ツルアリドウシ属)の実は豚の鼻のよう。一つの子房を共有して二つの花が咲いた痕だという。

今日の森林観察会でもたっぷり遊び学ばせてもらった。この穏やかで豊かな玉原のブナ林に来年の夏、再来する事が今からもう待ち遠しい。