読書場







ある日、読書をしに森に出かけた。木蔭を探してふらっと歩き始めたら、自然とこの場所に来た。


朝日山ゲレンデにある“万座の五葉松”は村指定の天然記念物。主幹は目周り5.05m、群馬県のゴヨウマツでは最も大きい。根株は大きく持ち上がり、樹幹の瘤と捩れによる立体構造はこの樹一本ですでに森林のようだ。


たかが本を読むのに、贅沢な時間を過ごす。標高1,800mのマザーツリーは大きな腕で木蔭をつくり、その懐の中、雲上の風と森のゆらぎにつつまれて好きな本を読む。


もっと早く気づけば良かった。もう夏が終わる。