観光カリスマ塾



国土交通省が観光地域活性化の核となる人材を育成するため今年度から新たに開講する「観光カリスマ塾」。この講座で得た知恵を少しでも嬬恋村インタープリタ−会事業化に役立てたいと思っている。

さらに嬬恋村でグリーン・ツーリズムを推進していくにあたって、嬬恋村=の農産物“キャベツ”をどのようにして体験プログラム化していくのか。キャベツ生産はかつての農業とは少し違う。キャベツ農家のご主人は工場長という感じである。

さて、栄光ある第一回カリスマ観光塾・講師は井上弘司氏。飯田市産業経済部・エコツーリズム推進室室長。講義のテーマは
飯田市の都市と農村交流
・ほんもの観光体験とエコツーリズム

初日の会場は農村寄食舎「ごんべえ邑(むら)」(中嶋奈緒子さん写)。都市住民と地元住民との交流スペ−スや郷土食体験室として活用しているとの事。このあとのご飯も楽しみ。


 


ごんべえ邑は地域農産物等を活用した郷土料理の食事体験スペ−スとしての利用をメインとしている。どうやら今日はスペシャルメニューのようだ。

まずは自家製どぶろくで乾杯。鹿肉は国産のもので美味い。きのこの和え物はアミタケとキシメジだった。

焼きマツタケまで出てきた。サービスしすぎではないだろうか。グリーン・ツーリズムは負担にならない範囲でのサービスでないと継続できなくなってしまう。

最後のほうに出てきたのは信州ならではのピョンピョン跳ねるアレが出てきた。これは苦手。でもまだこれで助かった。川の中の石の裏にいる長いアレとか、成虫は針を持っているアレでなくて。はー助かった。


 


今日のお宿は農家民宿である。生まれて初めての経験でどきどきしていた。

「萱葺き屋根の農家なんだろうなあ。トイレに財布落としたら悲劇だろうなあ…」

お世話になったのは藤本学さん宅。迎えに来てくれた息子さんの金髪にもビックリしたが、藤本さんのお家もおもいっきり現代建築である。まー…あたりまえか。別にタイムマシンで過去に行くわけではないのだから。

しかしまたいろいろとご馳走になる。特にショウゲンジの煮物はなかなか旨い。地元では「ずっこんぼう」と言うそうだ。解らんではないが…。


 


農家民宿はそのお家の朝食時間に合わせて起床する。ご主人によると明日は朝は畑に行かないとの事。ゆっくりの7時30分朝食に決定。

朝、寝ぼけ眼で食卓につくとこれまたおかずが山ほど出ている。この他に魚、海苔、当然ご飯に味噌汁…朝飯から食いすぎとなる。一泊5000円でやっていけるのだろうか。そしてデザートには牛乳とやはり飯田ならではのりんごが出てくる。

そうして気さくな現代農家・藤本学さんのお家を後にした。


 


今日の講義では飯田市役所・エコツーリズム推進室・エコツーリズム係長の竹前雅夫氏も講師となった。…驚いた。かなりの切れ者であった。飯田市役所にいるのは井上弘司カリスマだけではない。竹前雅夫という人物がいる。

百選棚田「よこね田んぼ」は狭い田んぼ(平均2.7アール)が並ぶ。狭すぎて機械の導入がままならない上に農家の平均年齢は69歳を越え、近年見る見るうちに荒れ果てていった。それを平成9年7月から対策委員会を設け草刈り・田おこしから電柱の撤去、枯れた水を戻し入れ教育旅行の田植え体験の場とした。かくして棚田はよみがえって行った。

「かかしコンテスト」なるイベントもあるようで、砲丸投げの室伏選手かかしやYAWARAちゃんのかかしなどがあり、それを見に来るのも面白そうだ。


 


飯田市内では林檎の木のほか、柿の木が並ぶ。これも市田柿といって南信州独自の干し柿で、来月には農家の軒下はこれをつるしてオレンジ色になる。これも体験メニューとしているのだ。

他に体験メニューでは生き物と触れる本物体験として、厩舎での馬の世話や乗馬を体験させている、日本トレッキング代表(下記URL参照)、永見一平さんのお話を聞く。
http://homepage2.nifty.com/ntrekking/

「馬というのは適当に乗ってみても思うように動いてくれません。尊敬した相手の言うことしか聞いてくれないのです。いいですか、ここに、本物の体験があるのです。自分の数十倍も力のある動物を動かすためには、どれだけの強い意志と勇気と愛情を持って接しなくてはならないのか。それを生徒達は学んでゆくのです…。」

うーん、やばい。僕も体験してみたくなってきた。


 


受講者の小岩井まゆみさんの誘いで、若きアーティストのアトリエを訪ねる事になる。

途中、飯田駅がちょっと素敵だったので撮っておいた。

訪ねたアーティストは稲垣智之さん(28)。お店は実際には洋服を売っている。友人でカメラマンの村沢晋さんも一緒だった。

こういう絵の種類は何というのか知らないが、あんなにアーティスティックなム−ドの駅がある飯田市の役所の方々には、彼らのアート感覚は理解されていないのだという。少しだけ聞かせてくれた彼らの夢は、飯田市の求めているもの、特に我々が今回受講している都市農村交流思想に基づく農村都市景観には合わないのだろう。軽井沢か八ヶ岳の麓なら成功するのではないか。そう思わせる位の絵のポテンシャルと情熱はあった。


 


3日目。今日は地域コーディネイターの役割とのタイトルで南信州交通公社担当・木下悦夫係長の講義。飯田市のグリーン・ツーリズムはこの南信州交通公社のランドオペレーター機能があってこそとも言われていると聞いていた。その高橋支配人の話を聞けなくて非常に残念である。

この後、意見交換会、終了式を経て、また得意の終了証を貰ってきた(阪辻秀生さん写)。

今回の講座では、やはりキャベツの解決策は見出せなかった。そしてこれでだいたい、セミナー形式で学ぶグリーン・ツーリズムの限界が見えたような気がした。

飯田市のグリーン・ツーリズムは市民みんなで関わり育み育ててきたもの。継続力が違う。今から他の市町村がどう頑張ってもここまでになるのは難しいだろう。しかし真似してみたってしょうがないし、する必要も無い。より良い地元、誇れる地元をつくり、それを次代へ継承していくためのものなのだから、10年も20年もかけてゆっくりやって、より地域らしさを出したほうが良いに決まってるのだ。

…最後に井上弘司カリスマの名刺にあった飯田名物の市田柿の写真を。