小串鉱山跡

昭和12年11月11日午後6時30分、嬬恋村の役場へ1人の男が手足を血だらけにして飛び込んできた。
「山が崩れて小串が全滅した。至急応援をたのむ。」

245人が生き埋めとなった硫黄鉱山最悪の事故、小串鉱山山津波である。
この役場に飛び込んだ男性こそ今日の案内人、高木高四郎さんです。当時坑内で4人でトロッコを押して出てきた時に山崩れとなり、一瞬後へ下がった高木さんだけが助かり、仲間3人はそのまま押し流されてしまったのだという。

また、この事故が特異であったのは採掘現場ではなく居住区を襲った災害であり、父や夫を送り出して家庭で留守番をしていた妻や子供、小学校生徒180人ほぼ全員犠牲となってしまったことである。

現地には立派な慰霊堂が建てられてはいたものの、当時の精錬所のものと思われる耐火レンガの建物が土砂に埋もれている様はまるで中東の戦火の痕を見るようであった。