エコツアーガイド養成講座2014 in 嬬恋 を実施



この記事は後日書いているために、ずいぶんと遅い報告になってしまいましたが、表記のとおり、当協会の基幹事業であります「エコツアーガイド養成講座」を実施いたしました。


2014年度 エコツアーガイド養成講座
※ 自然体験活動指導者(NEALリーダー)養成認定講座
http://ecotourism.or.jp/guidecourse.html


当日の様子をレポートします。


■講座1. 浅間鬼押出し溶岩流でスノーシュージオツアー 9:15〜12:00 (車で移動時間を含む)

○講師 赤木道紘


は、今年度から浅間園自然歩道が冬期間立入禁止となってしまいました。理由は、自然歩道をスノーシュー等で歩行されると春の正式開園の際に雪が解けなく困るから、だそうです。昨冬は群馬県国際戦略課様と共同企画で浅間園自然歩道スノーシューツアーを実施(http://www.pref.gunma.jp/07/c3600239.html)させていただいただけに残念です。来年からは、鬼押出し溶岩を見るツアーは別のところでやらなくてはならなくなるでしょう。代替地はあることはありますが非常に遠いコースになってしまいます…。



  


ジオツアーの代わりに行ったのは、まずは小浅間山。ここで炭酸飲料を使用した噴火実験や、1783年浅間山大噴火の降下堆積物が見られる地層露頭を見て、当時のことを考察しました。




また、小浅間山の森を歩き、攪乱から232年経過した森の様子を観察しました。カラマツの大径木、アズキナシの巨木が印象的です。



  


その後、鎌原神社に行きました。一般的なツアー旅行では鎌原観音堂や嬬恋郷土資料館がセオリーな流れですが、近年、地元鎌原区の方が訪問者向けに看板やら散策マップやらをずいぶん整備してくださっていますので、一つはその様子を見るために、鎌原神社を訪問しました。


そしてもう一つは、小浅間山で見た巨木と鎌原神社にある巨木が発生したのは1783年浅間山噴火の後か先か、という考察をするためにでした。皆さんはどう思われたでしょうか。



  


■講座2. 参加者を理解する 13:00〜14:30(1.5時間)

■講座3. 自然体験活動の指導法 14:45〜16:15(1.5時間)

○講師 岡野 勇二


「楽しみながら学ぶ!」をテーマに子どもから高齢者を対象とした体験型プログラム、環境教育プログラム、企業の社員研修講師、ネイチャークラフト教室、スノーハイク、自然観察プログラム等を実施している岡野さんによるわかりやすい講義でした。



  


木×2=林、木×3=森、木×5=森林。では木×4=? あ、この猫の手、私も欲しい…



  


■講座4.青少年における体験活動 16:30〜18:00(1.5時間)

○講師 山本茂


吾妻の偉大な教師、山本茂先生。学力よりも品格を重んじ、養育・訓育・鍛育に励まれました。自然体験活動は本来、家庭での畑の手伝い、地域での年中行事などで十分に得られるはずであり、農村の昔ながらの地域一体となった暮らしに帰依することが重要である、とお話になりました。




【自己紹介タイム】 18:15〜19:00(45分)


今年も、さまざまな方がお集まりくださいました。プロの登山ガイド、インストラクター、セラピスト…。今年は、全くの未経験の方は一人もいらっしゃらず、何らかの形で自然体験活動やエコツアーに関わっている方々でした。皆様の志の高さに事務局としても身が引き締まる思いです。これから、何卒よろしくお願いいたします。





■講座5. 自然の理解 9:00〜11:00(2時間)

■講座6. 自然体験活動の理念(ガイダンス) 11:15〜12:15(1時間)

○講師 赤木道紘


講義5.はNEALのリーダー養成カリキュラムでは、本来ならば会場の周辺で自然観察会をたっぷりする、という形態にする方が好ましいかもしれませんが、フィールド実習は最終日にまとまった時間をとる予定なので、浅間・吾妻の自然と歴史を映像や資料でざっくりとお話しした後、「自然」や「地域」を伝える者としてどういう心構えで何を伝えようとするべきかをお話ししました。「最新のエビデンスに基づいた科学的知見を学者風にお話しする」よりも、「自然を大きく楽しみ、深く味わってもらう」ことの方がいかに重要であるか。目の前で起こっている現象を机上の理論でがんじがらめに縛りあげて理解しようとするのではなく、ありのままをそのまま受容し、自分の感性がどう反応したかを承知したり、他者と意見交換したり、分かち合ったりする。そんなエコツアーならば、お客様は退屈しないでしょうし、理論ではなく感性で自然を大切にする旅人・エコツーリストが増えることにもなるでしょう。



  


■講座7. 基礎登山講座 13:15〜15:15(2時間)

■講座8. リスクマネジメント・ワークショップ 15:30〜16:30(1時間)

○講師 齊梧伸一郎


当協会きっての登山家である齊梧さんは、日帰りが主体となる浅間・吾妻の山々よりも、縦走やテント泊などのよりハードな環境の山岳での活動を主にしています。その齋梧さんに登山とリスクマネジメントのトレーニングをしてもらうことで、当協会の安全対策管理レベルを維持しようとしています。



  


ザック二つを繋げて怪我人を運ぶデモンストレーション。





空のザックを使えば女性でも怪我人を運べるはず、うまくできましたね。





リスクマネジメント・ワークショップでは先述のとおり、現在すでに活動されている方がほとんどのために、非常に積極的な議論が展開されました。



  


短い時間でまだ交流の浅い参加者方の意見を集約し発表するのは難しいことです。みなさんご苦労様でした。



  


■講座9. 安全管理(1) 現場の応急手当術 16:45〜18:15(1.5時間)

○講師 小林勝三


海上自衛隊衛生員として隊員の健康管理、医療に従事していた小林さんによる、エコツアー/自然体験イベントの際に、捻挫や骨折などの怪我人が発生した際、対処できるように三角巾、テーピング、包帯等を使った応急処置方法の講義実習です。…これは、1.5時間では全然時間が足りないのですが、訓練と気づきを得てもらうために実施しました。



  


■講座10. 安全管理(2) 普通救命講習、AEDの取り扱い方法 9:00〜12:00(3時間)

○講師 吾妻広域消防署嬬恋分署


最初にビデオを見て、救急車到着迄の対応がいかに重要であるか、等を学び、実際に心肺蘇生法、AEDの使い方等を学びました。




夜勤明けの体でご指導に来てくださり、誠にありがとうございました。深く御礼申し上げます。



  


■講座11. スノーシューエコツアーのいろは 12:50〜17:20 (4時間、車で移動時間を含む)

○講師 赤木道紘


待ちに待っていた、スノーシューエコツアーの体験です。万座カラマツ天然母樹林。この森には驚きの樹形、驚きの巨木カラマツがあちこちにあります。





この森の最大のカラマツ「草薙カラマツ」です。ところが、その名前は参加者にとってはどうでもいいこと。それよりも、この巨木をそのまま見て受容して、あなたの感性から沸き上がったものを樹木に対して、自然に対して返してさしあげるのです。長年生きてきた歴史の証人である巨木に、畏敬を念を持って触れる、ということはとても自然な反応ですし、また別にどうとも思わないような方でも、触れてみると何か感じるものがあるかもしれません。



  


「ありがとう」と言って人が人に握手をする、触れる、ということをした場合、その気持ちは伝わってきます。感謝の心、温かい気持ちに包まれて行きます。では人と樹木・植物ではどうなるでしょうか。この世界は弱肉強食で強い者が生き残ってきた、勝ち残ってきた世界、という見方も一つですが、植物も動物も菌類も、はたまた無機質も含めて、みんなが地球をよりよくしていこうとして、許しあい、認めあい、生きていけるニッチを譲り合うことで、複雑多様で豊かな世界を作り上げてきた。そういう風に考えれば納得できることがあまりにも多すぎるのです。そうだとしたら、「今日まで生きていてくれてありがとう」「感動したよ」「頑張ってね」と触ってあげたら、どんなに樹木は喜ぶことでしょう。



  


ダケカンバのマザーツリーとその子供たちのダケカンバ一斉林。美しい白い森でした。



  


大蛇と竜が宿るカラマツ巨木。



  

  • 樹木は年齢によって温度が違うのか? → 科学的知見では絶対に変わりません。手が触れている接地面積の広さで体感温度が変わります。
  • 樹木に耳を当てるとゴーゴーと水を吸う音がする。 → 樹木の道管で水を吸い上げるスピードは1日に約40cm。しかも空気が入っていないので音はしない。
  • 寒い日にシャボン玉をすると玉が凍る? → 何か特別な液を混ぜないと凍ることはありません。



そんな科学的知見が、自然体験で深く感動することの妨げにならないようにしたいものです。凍ったシャボン玉、綺麗でしたよね?



  


ふわふわの雪だったら、歩くよりも走るほうが絶対楽しいですよね!転ぶ人もいますが…





いい思い出になる記念写真を撮れる、絶好のスポットを見つけておくことも大切なことです。



  


最後に認定試験をして、これまでの講義を振り返っていただきました。採点したところ、皆さん高得点でいらっしゃいました。お疲れ様でした。


今年は、エコツアーガイド養成講座を嬬恋村で実施するか、それとも中之条町あたりで実施するか相当悩みました。もう嬬恋村では人口的に人材を掘り起こしし尽した感があり、西部よりも人口の多い吾妻東部で人材を発掘しなくてはならない時期に来ています。しかし受講生の皆様に「エコツアーガイド」の何たるかをお伝えするためには、どうしても、私が発見しコース設定し大多数をご案内してきたあの森、私と心身が完全にシンクロしている「万座カラマツ天然母樹林」でエコツアー体験をしてもらう必要があり、やはり今年も嬬恋村で実施しました。見えているものことを、ガイドがただ単なる物体として紹介するのと、自分と心が通じている存在、家族として紹介するのとではずいぶんと価値が変わるものです。


この講座で学んだいろんなことを、今後の活動に生かして行ってください。ご受講くださいまして誠にありがとうございました。


AAES エコツアーガイド養成講座
http://ecotourism.or.jp/guidecourse.html






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