お母さんの愛情



30年以上前の話。東吾妻町原町にねえ、3人姉妹の子供がいるおウチがあったんだって。


手芸が上手なお母さんは、子供たちに好みのお人形を作ってあげて、たくさんの洋服や靴、バック等の小物もいっぱい作ってあげたんだって。共働きで時間がなかったけど、あんまり子供たちが喜ぶもんで、日中、いつも何を作ろうか考えて、夜は毎晩、夜なべして手芸していたんだって。


やがて子ども達は大人になり、実家を出ていきました。そしておウチも引越しすることになりました。お母さんは、古くなった人形は捨てざるを得ませんでしたが、子ども達にせがまれて作った、思い入れのある小物シリーズは、捨てずにとっておきました。





それが、この、フェルトの靴たちです。





一番下の子、K美ちゃんは、お母さんと歯医者さんに行く時、必ず人形と着せ替えグッズをいっぱい持って行って、待合室で必ず自分の一番大好きなドレスと靴に着替えさせたんだって。


「ほーら見て、私ったらこんなに可愛いお人形と、ひらっひらの素敵なドレスを持っているのよ。」





お前は、そうやって愛情いっぱいで子育てしたおばあちゃんの、初孫として生まれたんだよ。





この家の愛情を、みんな独り占めして育っていくんだよ。





最高のおウチに生まれて良かったね、彌紘くん!