万座熊池巨木めぐりスノーシューご案内
今日は東京都のO様を万座熊池湖沼群、巨木めぐりスノーシューをご案内させていただきました。ご宿泊は万座ホテル聚楽様です。
万座熊池巨木めぐりスノーシュー
http://ecotourism.or.jp/snowshoe/manza_kumaike01/index.html
O様は数あるスノーシューツアーの中で、「巨木」を全面に打ち出した万座熊池巨木めぐりスノーシューをご選択くださいました。はっきり言って、かなりお目が高いです。このコースは、私の秘蔵のコースでございます。
まずはトウヒやシナノキの巨木を鑑賞。
お耳が不自由なO様は、しきりに美しいものを探し、カメラに収めようとなされます。あいにくの雪ですが、絵になるところがたくさんあります。
そうです、これが第一の巨木、ハリギリです。
この辺りの巨木には、だいたいイワガラミという蔓植物が高いところまで絡まっていますが、巨木たちはイワガラミによって、本格的に困るほど締め付けられていないように見えます。イワガラミは根を出して張り付けて登っていきますが、かなり気を使ってよじ登らせてもらっているのでしょう。いわゆる「絞め殺し植物」ではないようです。きっと、樹木にとっても一緒に成長することで助かる理由が何かあるに違いありません。物理的に無かったとしたら、樹木がお洒落をするために見にまとっているのでしょう。花の時期なんか綺麗ですから。
あ、ハリギリにも熊の爪跡。これだって、体に模様ができて樹木は喜んでいるのかもしれません。未開地の原住民がタトゥー入れるのと同じような…
ダケカンバの巨大木。O様はそっと手を触れて樹木と心を通わせます。
今日は雪なので、昼食は旧自然歩道のあずまやで。おや、脇にあるミズナラは根元は二股になっていますね。もしかしたら、この辺りで見られる同様の現象は、まず先に凍裂があって、その後、地すべりにより裂けたところが広がっていく…のかも知れません。
そのまま、周囲の森を観察。大きなコブのあるダケカンバ、そしてバイオマス量では最大の可能性がある、新たなダケカンバ巨木を発見しました。
随分傾いた針葉樹ですね、近寄ってみるとうわっ、これは相当大きいです。幹周400cmはざらに越えています。
O様に隣に立っていただきました。手前の常緑葉が邪魔ですね。
このミズナラもかなり大きいです。枝分岐点にでっかい枯れ枝が挟まっていますね。
そしてとっておきのミズナラ、「三股のミズナラ」です。こう撮るとミズナラはダンサーのように見えますね。
上の写真のうち、一番左の写真はブナです。そして、コース最大のミズナラとご対面。
O様が樹木に接するとき、畏敬の念といたわりの思いが周囲を包む…ような感じがしました。
復路では、通常のコースではなく、O様が望まれた方向を彷徨いながら帰りました。すると見事なミズナラ巨木が。きっと、樹の声が聞こえたんでしょうね。
横になった丸太がログハウスのように見え、建物かと思ったらしいですが、これはただの大きな枯死木です。裏側に回ってみると大蛇のようでした。
不思議なキノコを見つけたり、探検しに出かけたり。
お帰りなさい。おやつをどうぞ。針葉樹の枝葉を傘に一休み。
手が届きそうになった電線も、珍しいですよね。最後のポイント、熊池に到着するなり、O様は池に向かって走っていかれました。
熊池湖沼群は、本白根沢の地すべりによってできた成立した、いわゆる「せき止め池」です。急激に水が流入して溜まってできますから、池の中に立ち枯れの木が生えている風景になります。この風景にとても感動してくださって、何枚も何枚も、あっちからこっちから、恐らく100枚くらい写真をお撮りになられました。
そのお姿を見ていると、私は胸の深いところから熱いものがこみ上げてきて、涙腺が潤んでしまいました。健常者様方のガイドをやっていても、涙が出たことなど無かったのですが、この、感覚器の一つを失ってしまったO様に、こんなにも感動していただくことができた、夢中になっていただくことができた、思い出を作ってもらうことができた、人生を華やかにしていただくことができた、と思ったら、嬉しくて感無量になってしまったんです。そして自分も初めて見たときは同じくらい感動したはずなのに、最近、慣れてしまっていたなあ…って、ピュアな自分の心を取り戻させてくれたような日でした。
最後に、雪の断面が見えていたところがあり、積雪層位を観察しました。暖かい日にできた氷の面、これが表層雪崩のすべり面になるのでしょうね。
天候は終始、雪が降っていましたが、O様も万座の自然の懐の深さをとても気に入って下さり、来年のお越しを約束してくださいました。
万座温泉 巨木めぐりスノーシューコースは、今年は4月中旬までは大丈夫そうです。それ以降は今後の天候によります。ぜひ、お越し下さい。
万座熊池巨木めぐりスノーシュー
http://ecotourism.or.jp/snowshoe/manza_kumaike01/index.html