山梨市森林セラピー基地 西沢渓谷 研修会



佐久市森林セラピー森の案内人の会の研修会で、山梨市森林セラピー基地『西沢渓谷』に行ってきた。佐久市草津町のセラピーロードとは全く違い、完全に自然名勝の観光地であり、またロードの途中には急峻な登山道もあった。イメージ的には草津白根山の湯釜と、空釜一周コースを森林セラピーロードにしたような感じ。


今回の研修会で、森林セラピーとは一般の方々を自然に導くための手法、またはプロセスの一つであるという考え方を新たに持った。例えば登山の目的は『汗をかいて登山道を登り、頂を制覇する』であるのに対し、森林セラピーとは『自然環境と被験者の生体リズムをシンクロさせることにより快適性増進効果を得る』ということを目的としている。


森林セラピーとは静的なメニューばかりとは限らない。目的が外れていなければ動的なものもあって良い。ただし、自然環境と無関係な現代人を森林の中にお連れするにあたって、登山=森林セラピーと思われてはちと困る。「こんなに森林セラピーとはキツイものなのか」にならないようにも、案内告知や募集の方法にも気を配るべきだと思う。


では、以下が研修のレポートです。長いですのでお読みになる場合はご注意ください。




  


昨日の雨も上がって、お月さまがきれい。残月と浅間山の写真をパシャリ。
行きのバスの中では、これまでの打ち合わせ会の報告や、これからプログラムをどのように組み立てていくかなどのワークショップがなされた。




  


「道の駅みとみ」に到着。ここが森林セラピー基地「西沢渓谷」の入口。
道の駅で干し柿を作っていた。また柿製品がたくさん販売していたので、この時期の名物なのだろう。目を引く演出だ。




  


柿の皮も干してあった。柿の皮はとても健康に良いらしいですから…なーんて話をしていたら、Kさんがパクリ。って、「ご自由にお召し上がりください」とは」書いて無いでしょうに!
山梨市森林セラピーご担当の磯村さんによる説明。森林セラピスト認定講習会で妻と同じ班だった方。先日は妻が大変にお世話になりました。




  


出発前に、簡単なストレス度や血圧等の測定を行う。私の出発時のストレスは42KU/L。ややあるという数値。脈拍は103/77でいつも通り。だいぶん低血圧なのです。
ここでは、ご案内するセラピーガイドさんがこの測定を行ってくれる。この辺りも、先進地ならではの対応といえる。健康相談記録票に数値を書き込んで出発する。




  


山梨市オリジナルの森林セラピー案内人ワッペン。広瀬勲さんの案内で西沢渓谷へ。
西沢渓谷では山梨市が認定した森林セラピー案内人が5人〜7人に対して1名付き、さらに、森林セラピーソサエティが認定した森林セラピストが10人に対して1人付くと仰っていたがその仕組みは複雑そうだ。




  


西沢渓谷の道路標識にも「森林セラピー基地」の文字が。
今日の森林セラピストさんが持っていたのは12人分のレジャーシート。一人で持つと結構かさばる。




  


しばらくはアスファルトの道を歩く。かつての森林鉄道の軌道敷だそうだ。
ミズメの樹皮の香りをかいだりした。




  


最初に現れる滝、「ナレイの滝」。このナレイ沢橋の上でマイナスイオンを計ると」3,500あったという。ちなみに、他の場所では、

  • 東京都内 100
  • 山梨市街 500
  • 七ツ釜五段の滝 17,000?!


だそうです…




  


この山は火山では無く、隆起してできた山だそうだ。地面が露出しているところが白いのは実は白い基岩が見えているから。




  


途中のあずまや、トイレもとても立派。さすがは第一級の自然景勝地だ。ここをわんさか訪れる観光客と同じ道を歩きながら森林セラピーをやっているのだ。




  


西沢渓谷鳥瞰図は、市の職員さんの手作り。とてもお上手。彼の作品には、必ずキツネが出てくるとのこと。




  


また、ここには日本百名山甲武信ヶ岳」の登山道があり、登山客でも賑わっているそうだ。
さらに進むとヌク沢。今日は帰路で、この場所で「安息」というメニューを行う。




  


広瀬さんが河原から拾ってきたのが珪石。この石を採るために森林鉄道が敷かれ鉱山が開山されたのだ。
その後、岩にびっしり付いた苔を触ってみたり、落ち葉の上を歩いてみたり、




  


落ち葉の匂いを嗅いでみたりした。腐葉土の匂いはあまり好きな人もいないだろうが懐かしさを感じる匂いだ。
この辺りは笹が鹿により食害されていた。なるほど、笹が好物なのか。信濃道自然歩道でも同じものを見たが、鹿の食害だったとは。




  


西沢山荘の先で樹木を抱きしめてみる。ここで出てきたのは西沢渓谷オリジナル芳香スプレー。PHYTONCIDE(フィトンチッド)の文字が見られる。 こんなものまであるのか。




  


ここからは沢づたいの登山道。奥山ムードが漂う。二俣吊り橋を渡る。




  


二俣吊り橋から見える山は鶏冠山。険しい山だ。
さらに進み、ここからが本当の秘境、西沢渓谷




  


いよいよ登山道も狭くなってきた。皇太子殿下がお見えになる予定で作った階段。かなり急だ。




  


その後すぐに、今度は急坂を下りる。この下にあるのが「三重の滝」。
今日はここで折り返すが、一般的にここを訪れる人たちは、ここから先のさまざまな滝めぐり、そして最後の名勝「七ツ釜五段の滝」を観に行くのが目的。




  


「三重の滝」の下側には「魚止めの滝」がある。滝を折り返すの道の写真から、結構きわどい道を歩くのだということが解かる。




  


この登り道だって、登山靴じゃないと危ないと思うのだが、すれ違う観光客の中には全くの普段着、普段靴で来ている人もいた。交通の便が良いというのは怖い面もある。




  


そしてランチタイム。森林セラピストさんからレジャーシートを貰う。そこはクッションになっていて、岩があってもお尻は痛くない。


西沢渓谷の森林セラピー弁当。今日のメニューは、


・ご飯  きびご飯
・煮物  こんにゃく
     たけのこ
     かぼちゃ
     はな豆
・天ぷら まいたけ
     モロッコ
・煮物  虹鱒の甘露煮


竹皮の弁当箱に入っていて、これがお一人様850円。お得だと思う。




  


食事中に回ってきたのは万華鏡。覗いてみると、赤、黄色、緑色の模様が見える。




  


上ぶたを外して撮ると、こうなる。下ぶたも外れるようになっていて、山で拾った落ち葉や花、石などを入れることができる。とても素敵なアイテムだ。私もほしい!




  


リョウブの樹皮が鹿に食害されていた。リョウブの皮なんて硬そうなのに…味がいいのかな?人間でも、この新芽は食べることができます。
そしてヌク沢の岸辺に横たわるものが…?




  


これが森林セラピープログラム、「安息」である。川のせせらぎと木々の葉擦れ音、光と風の揺らぎの中、森の気配にシンクロさせる。
しかし、この姿を見て奇妙と思う人もいるのだろうなと思う。【只今『安息』プログラム実施中。お静かに☆】というような看板でもあるといいかも。




  


私も寝っ転がってみた。葉が落ちた木の枝が網の目になって私を包んでいる。気がついたら眠っていた。
目が覚めたところで、ストレス度チェック。唾液中のアミラーゼを計測する。




   


おや、寒くなって目覚めたせいからか、最初は42KU/Lだったものが60KU/Lに上がってしまっている。もちろん、下がった人も多かったが、私の場合は、いろいろと課題を持ちながら歩いていたので、リラックスはできなかったかも。これは職業病だとも言える。
このまま全員で道の駅まで下り、解散。




  


道の駅では、半乾きになった種なしの柿を、まんじゅう型に形を整えていた。本当にまんじゅうにするそうだ。中にあんこでも入れるのだろう。


森林セラピー基地『西沢渓谷』では、このようなプログラムで参加費はお一人様4,800円。ガイドには1日8,000円−弁当代を支払っている。さらに森林セラピストさんには10,000円程の謝礼があるそうだ。決して悪い条件ではないが、現役世代が職業として選択するのにはまだかなり無理がある。


バスで佐久に帰る同中、「佐久市森林セラピー森の案内人の会」の名称は、通称「檪(くぬぎ)の会」になった。名前の由来は、“苦を抜いて気が楽になる”というイメージらしい。なるほど、良くお考えになられました。


今後は、案内人のプロフィールをHP上に載せたり、プログラムの検討会を月1回程度実施する、案内料や運営費について、向上を目指し検討していく…などの議論がなされた。


事務局の小平さんがとても頑張ってくださっている。私も共に歩んでいきたい。