奇勝「石樋」、バラギ湖、野地平下見



福田さんと英美子と3人で、6月にお見えになる学生団体対応の下見にバラギ高原に行ってきた。




  

  


去年、ザゼンソウの花を観察できた鱒池の辺りは、どういうわけか観察できない。今年はまだ出ていないのだろうか?ウバユリの葉はもう出ているというのに。

ネコノメソウ(ユキノシタ科ネコノメソウ属)の花がきれい。
フクジュソウがようやく葉を出し始めた。今年のバラギ高原の春は遅い。




  


東海大学嬬恋研修センター様の構内から石樋にショートカットする道を選択。カラマツ植林の道。
少し歩くと、右手に開けたところが見える。立ち寄ってみると、いい感じのハリギリの樹が。この、林床に笹が繁茂していないエリアは、まだ奥に続いているように見える。パルコール嬬恋リゾートホテル様まで続いているといいなあ。




  


間もなく石樋に到着。やはり雪解けのこの時期は水かさが増している。ここでは、昨年子どもたちが尻滑り大会を始めてしまい、全身べちょ濡れになって先生を困らせたっけ…でも、個人的にはそういうの大賛成なんだけれども。

石樋の滝に降りて、水辺の生き物観察。どれどれ…


おっ、いたいた。ハコネサンショウウオ


清流にしか棲まなく、なんと肺を持たない。酸素は皮膚や口の粘膜から取りこむ。なんと変った生き物か。




  


足元にチョウセンゴヨウを発見。この辺にはチョウセンゴヨウの樹は見当たらないが、リスが持ってきたのだろう。そういう食べ方に見える。

この辺りには、ブナの稚樹も結構ある。かつてはブナ−ミズナラ林だったことを想像させる。明るいカラマツ林の中だとはいえ、私と同じ位の背丈でも20歳は行っているだろうな。





左上には大きな石が立ち並んでいる。…あれ?どこかで見たような石だが?福田さんが「スターウオーズで出てたねえ!」と。



あ、ジャバ・ザ・ハット。


※ジャバ・ザ・ハットとは? - Wikipediaより

(Jabba the Hutt) は映画『スター・ウォーズ』シリーズの登場人物で、惑星タトゥイーンに本拠を置きありとあらゆる犯罪に手を染めている犯罪組織ハット・カルテルの首領である。本名をジャバ・デシリジク・ティウレ(Jabba Desilijic Tiure)という。


そうか、そういうことだったのか。しかし福田さん、フルネームをよくご存じで…




  


森の中に寄り道。ショウジョウバカマの花が咲き始めた。この植物は古い葉の先端が、地面についた所から根を出して新しい苗になって成長してしまうという驚きのクローン術を持っている。だからとても密生して生えている場合があるのだ。




  


左のものはジンヨウイチヤクソウかと思い、思わず通り過ぎるところだったが、なんかおかしい。よく見てみると違う植物だった。何かわからなかったが、後で撮った右側のジンヨウイチヤクソウと葉明らかに違う。




  


エンレイソウユリ科エンレイソウ属)が纏まって生えていた。花は一つだけが咲いていた。他のものはまだ小さく、今年は花はつけなさそうだ。黒く熟した果実は食用となるらしいが、基本的には有毒植物。しかし中国では根茎を延齢草根と呼び、古くから胃腸薬や催吐剤などの薬草としているそうだ。




  


地面に顔が近くなったところで、何かの種を発見。これはチョウセンゴヨウだ。周りを探してみると、チョウセンゴヨウの球果をリスが食べた跡が見つかった。チョセンゴヨウの種は他のマツ属の種子のように翼を持たない。また、チョウセンゴヨウは熟しても種鱗はあまり開かない。チョウセンゴヨウはもっぱらリスなどの小動物もしくはカケスなどに貯食してもらい、掘り出し忘れられることで発芽するように進化したのだろう。




  


何本も激しく萌芽更新したアオハダの樹が。そしてその枝は捩れてぶつかってまた接合して…
コシアブラの樹は、枯れてしまった枝を生きている幹が取り込んでいく姿が観察できる。樹木は歩いたり動いたりすることができないが、その場で肥大生長していくプロセスの中で、伸ばして行く方向を変えてみたり、邪魔なものを樹体に取り込んでやり過ごしてしまったりと、いろいろやっている。




  

  


石樋ハイキングコースを降りてきて、バラギ湖の湿原に到着。ミズバショウがいくつか咲いているが、これは移植したもの。本来はザゼンソウの群落地。しかしここでも本当に少ない。ようやくザゼンソウを見つけたが、今年は花が少ない年なのか天候不順によるものなのか解らない。




  


釣りガールがいるいる。今年は若い女性に釣りが流行っているって本当なのかな。バラギ湖駐車場付近から見える四阿山は、まだまだ雪景色。寒い訳だ。




  


無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場横の牧草地ではマウンテンバイクのコースが設けられ、家族連れがタイムを競い合っていた。小さな子供もマウンテンバイクにチャレンジ。がんばれ!MTBも子供市場で人気を稼ぐ時代なのだろうか。




  


再び石樋ハイキングコースへ戻り、上りの所要時間を確認。チョウセンゴヨウの赤ちゃんを発見。近くに親木は見当たらない。つまりは、動物がここに運んできた証拠だ。もしかして、この登山道に貯食のため植えたものかもしれない。そんなに人通りが多い道では無いし、笹の林床よりは植えやすく、天敵の発見だってしやすいと思う。




  


木部が、真っ青になている枯れ木(シラカバ)を発見。これは青変と呼ばれる現象で、青変菌の仕業だ。持ってみるととても軽い。木なのにスカスカでスポンジのようだ。青変菌が材を分解しスカスカにしたのだろう。青変菌については以下のWEBサイトに詳しく載っている。


青変菌とは?
http://www.sakura.cc.tsukuba.ac.jp/~yyamaoka/seihen/seihen_t.html


キクイムシの中には体内に青変菌を寄生させておき、生立木の樹皮下に侵入する際に青変菌を持ち込む。青変菌はキクイムシの孔道から辺材部に速やかに侵入して辺材部での水の通導阻害を起こし、樹木を枯死させてしまう。

キクイムシと青変菌は相利共生の関係にある。キクイムシは、青変菌がある場合、無い場合に比べて虫体が大きく、繁殖能力も高くなるそうだ。幼虫が菌を食べたり、菌によって質的に変化した樹木の組織を食べることにより、何らかの栄養的な利益を得ているためと考えられる。




  


カラマツが整然と並んでいる植林地まで来るともう少しで東海大学嬬恋研修センター。
構内に入ると、大きな炊事場が。ああ、ここでカレーを作るのか。それにしても、いい場所だ。摘み草料理をするには最高なんじゃない?





いつもお世話になっているフロントの宮崎様がわら細工の準備をなさっていた。なんと、400人前の下準備。乾燥させたり、丈を揃えたり、わらすぐりをしたり、わら打ち台で叩いて柔らかくしたり…と、わら細工は本当に大変。だからネイチャー赤木はわら細工には手を出すのをやめました(笑)。




  


続いて野地平の方に。元気を出してスタートしたが、あらま、まだまだ雪がある状態。これでは歩くのは危険。今日は野地平の下見は止めておくことにした。




  


今年は、星空観察は草原ではなくこのキャンプファイヤー場でやることになった。去年はダニ騒ぎが凄かったからなあ。キャンプファイヤー材の燃えカスが積んであった。畑の土壌改良にでも使えそう。今度少しもらっていこうかな。