万座熊池湖沼群の倒木更新

今年は万座温泉の熊池湖沼群の笹刈りをさせていただく機会が何度かあった。そこには、亜高山帯の森林ならではの倒木更新の、見本のような姿があった。



亜高山帯の林床は笹の繁茂が著しく、笹の下に落ちた種は日光が当たらず発芽することができない。また、亜高山帯の地面はどういうわけか発芽を邪魔する菌類がいて、安定した土壌もなく、落ちた種にとってはトリプルパンチである。


しかし、幹に苔むした老木が笹を押し分けて倒れると、種にとってそこはちょうど良い、発芽のためのゆりかごとなる。写真のように列をなして成長する場合が多い。


このような亜高山帯針葉樹林特有の、倒れた樹木の上に落ちた種が発芽し更新される様を倒木更新という。



このまま数百年たつと、倒木は完全に分解され土に帰るので更新した樹木の根は根上がりとなる。その空洞は森の動物たちの大切な棲み家になる。キツネ、テン、ツキノワグマ


この様子だと、更新した樹木は100年位経っていそうだが、倒木はまだ朽ちていない。万座の寒冷な気候では、分解にも時間がかかることも解る。