毛無峠〜小串硫黄鉱山〜迎賓館〜浦倉鉱山跡(チャツボミゴケ群生地)



今日は嬬恋村役場観光商工課職員としての山行。山路の会さんから、嬬恋村にチャツボミコケの一大繁殖地があるので、観光資源として売り出してほしい、視察に来てほしいという依頼があり、私が行くことになった。

【目的】
  山路の会が提案する「チャツボミゴケ群生地」とそこへのルートが観光資源として活用できるかの可能性を調査する
【実踏日】
  平成22年6月4日(金)
【実踏ルート】(往復コース)
  毛無峠 ⇔ 御地蔵堂 ⇔ 迎賓館跡 ⇔ チャツボミゴケ群生地
【結果】
  ?.所要時間
    9:40 毛無峠 
   10:10 御地蔵堂(5分休憩)
   10:25 分岐点(10分休憩)
   11:05 迎賓館跡(10分休憩)
   12:00 浦倉鉱山跡地着、チャツボミゴケ群生地鑑賞、昼食
   13:10 出発
   14:05 迎賓館跡(10分休憩)
   14:30 分岐点(5分休憩)
   14:50 御地蔵堂(5分休憩)
   15:30 毛無峠
  ?実施状況
   ・参加者は38名。迎賓館より先は笹が繁茂し、ルートが解りにくかった。
   ・往路は下りなのでもっと時間短縮できるはずだが、最も遅い方に合わせてゆっくり進んだ。途中でその方(77歳)が脱落したので帰路はスピードアップすることができた。


天気が最高で、幸先の良いスタート。小串鉱山が大崩落した事故からは73年が経っているが、今になっても崩れた跡がはっきりとわかる。規模が大きかったことと、植生遷移が相当進まない地域なのだということがわかる。


  


久しぶりに御地蔵堂に来た。すると、かつての鉱山と集落の地図を石板に彫ったものがあった。あれ?こんなものあったっけかな?この御地蔵堂は来るたびに立派になっていて感心する。これ以上にすることはないと思うが、よくここまでやってくれたと思う。

ここからは、私が歩いたことのない道。かつての住宅街を進む。


  


途中で見えた車は、後になって誰かが不法投棄をしたものだろうか。大変によろしくない。

かつての住宅街は、銀座通りという説明を受けた。小学校だった場所には回転ブランコのようなものが見える。小串鉱山跡の荒涼とした風景を象徴するガレ地の山は、精錬のカスである…などの説明を受けた。

この銀座通りあたりは遷移によって森に帰る途中だが、今のところ迷わずに進むことができる。


  


隆吾さんが取り出したのはロケット花火。火をつけ、竹の筒に入れて遠くに飛ばす。熊にこちらの存在をアピールするためだ。なかなかいい小道具だ。が、自然保護にうるさい人は何か言いたくなるだろうなあ。まーいちおう土に帰るゴミなので勘弁ってことで…

この辺から笹の繁茂が激しくなり、案内人がいないと進行がかなり困難な状況になる。そのうち、今朝し立ての熊のウンチが!見たところ、笹の筍を食べたウンチのようだ。動物性のものは含まれていなかったように見える。ウンチが一つの材料でできるぐらい、同じものをしこたま食べるってことだ。よく飽きないよな。


  


小串鉱山から結構離れたな…と思ったころに、突然、廃墟屋敷が現れる。

ここはかつての迎賓館であったという。参加者の中にはここに泊ったことがあるという方もいた。小串鉱山の建物はほとんど風化しているのだが、この迎賓館は頑丈な造りだったのだろうか?人の気配の感じられない山奥にたたずむこの構造物はノスタルジックであった。感動を覚えた。


  


左側に回って中をのぞいてみる。ここはホールだったのだろうか。壁に天然石を貼り付けた装飾が見られる。きっと、とても洒落た建物だったのではないか。

かつて戦争などで需要が多かった硫黄や鉄などの鉱山で働いていた人たちは、賃金が高く生活水準が高かったという。農村は貧しかったが鉱山には金があった。それで、こんな山奥に不似合いな豪華な建物があったのだ。

この後は、またかなり長い時間、笹藪こぎが続く。わかりにくい道、そしてそのうち誰かが熊のウンチを踏んでしまった!歩くたびに撒き散らかる熊のウンチ。ぐわっ、強烈なにおいだ。しかし隊列を崩すわけにはいかない。跳ね返ってくる笹に熊のウンチが!!! なるほど、こういうこともあるのか。


  


迎賓館から下は、森の雰囲気が変わってくる。天然林らしいブナの大木が現れてくるのだ。森の香り、馥郁としたみどりの香りが強くなる。ああ、私の好きな匂いだ。

ようやく関東鉱山跡地に到着。到着した場所が開けていて、昼食をとるのにちょうどいい。

昼食後、いよいよチャツボミゴケ群生地へ。おお、ピカピカしている。苔というより、緑のビロード生地のように見える。


  


この関東鉱山はかつて鉄を露天掘りしていたところで、その壁面から強酸性度の強い水が出ている。鉄分が多く溶けた水の流れに落ち葉が積もり、それに鉄錆が付着していく。やがて陸地になったところにチャツボミゴケが繁殖し、さらにその上に別の苔が発生していく…

うん、植生の遷移を理解するのにも使えそうだ。しかし、このスポットに留まって鑑賞する場所がなく、チャツボミゴケの上に乗るしかない状態だった。私も乗ってみたが、するとグシャ、グシャと足裏で葉が潰れる感触があった。

これはマズい。すぐに苔の上から出たが、いる場所もなく、引き返した。あの後、大勢がここに見に来たと思うとゾッとする。ここに人を連れて来るためには、立ち入り禁止の札を立てるなど、苔の上に乗せない方法を考えないと。


  


しかし見事な群生地だ。表面積は100平米を上回るし、付近を探ればもっとあるかもしれない。嬬恋にはほかにチャツボミゴケ群生地はないので、少人数なら連れてきてもいいかな。大人数を連れてきてしまうと苔の上に乗るしかなくなってしまう。

また、このコースは往路は険しいけれども下りでまだマシなのだが、復路は長い上りで結構きつい。干俣に下りてくる縦断ルートを見つけることができたら、エコツアー商品としては売って見たいと思う。

昼食をとった場所、露天掘りの対岸の位置に何か構造物が見えたので撮っておいた。何かな?

帰り、圭ちゃんが赤ちゃんを産んだので抱かせてもらいに日進館に寄った。うん、カズによく似ていると思う。うちも頑張んなきゃな〜