信濃路自然歩道 峰の茶屋〜白糸の滝

信濃路自然歩道の一部には、私にとって思わず自然観察会等を実施したくなる理想の森がある。しかしまだ全線を歩いたことがなかったので、他の場所も様子を見るために歩いてみることにした。

車窓から様子は分かっていたが、コース初めは中径木のカラマツやアカマツが主体となっており、林分としてはあまり私の好みではない。全般的には笹の繁茂がなく、見通しが利きコースとしては歩きやすいと思った。

ほんの一部だが、コースが雨にえぐられたのか溝になっているところがあった。こうなると歩きづらい。


  


カラマツ‐アカマツの林から徐々にミズナラなどの広葉樹が混じった林となってくる。そして森の後継樹として陰樹とされるモミなどが出現しつつある状態がみられる。林床が笹に覆われていないためか、森の様子を見やすい。私の育った北広島の森もそうだった。

ヤマタイミンガサの新芽は昔、山菜の王様・モミジガサかと思って茹でて食べてみたことがある。あまりにひどい味で、「おええ〜」といって吐き出したが、あの味は忘れられない。見たところ非常に繊維質が多く、蕎麦のつなぎとしても使えそうにも思うが、あの味じゃなあ…

シロバナエンレイソウは暗く湿った沢の中で、白い花がひときわ明るく見えるが基本的には有毒。しかしこれを食べる地方もあるというから驚きだ。


  


これもまた有毒植物、ハシリドコロ。英美子が最近、酵素ドリンクというのに凝っていて、その辺の雑草をむりし取って酵素を抽出するのだが、こういった毒草も一緒に混ぜてしまうというから驚きだ。というかとても心配。

ナカヤマ手作り酵素教室
http://www.nakayamakouso.school-info.jp/index.html

さて、1時間ほどで白糸の滝につく。滝と観光客を上から見るのは何だか不思議な気分。この滝は軽石の多い浅間山の地層の下にかつての粘土層のような水を通さない層があって、そこを地下水が水平方向に流れて出てくる。この粘土層というのがわからなくなるところで、かつてここは湖だったということなのだろうか。この付近は分水嶺でもあるが、ここにかつて湖があって浅間山の噴火(塚原土石なだれ)で埋まったと考えるのが妥当だ。太古に思いを馳せると当時の不思議な光景が脳裏に浮かんでくる。

「神の手」のように見えるのはミズナラ大木が伐られた姿だった。とても勿体ないようだが、ここは観光客の通り道。危険で仕方がなかったのだろう。


  


自然歩道から斜めに出ている大木はミズナラかと思ったらどうも違うようだ。枝先、冬芽と実の痕を見てもわからなかった。

※後日判明、イタヤカエデの巨木だった。しかし2010年夏〜秋に倒れてしまった。

浅間山に降った雨が地下浸透し湧き出るまでに6年程度かかると書いてある。6年、案外短いな。そんなもんか。水温は11.8度は地下水にしては高い。浅間山の火山活動による地熱の影響だそうだ。


  


今まで気がつかなかったが、白糸の滝の上部はずいぶんと人の手が入っている。えー、天然状態じゃなかったの?なんだかガッカリだな〜

と思ったら、道路の入り口にある案内看板に、平成13年(2001年)台風15号による災害とその復興の様子が書かれていた。その台風は、私がいた万座温泉にも大きな被害をもたらし、その時から私を取り巻くものことすべてが変わっていった。そしてナチュラリストとしての私がある。

信濃路自然歩道、つくづく私と縁を感じさせるところだ。