屋久島旅行 初日



屋久島に行くには、鹿児島で乗り換えなくてはならない。往路は飛行機なので、乗り換え待ち合せで空港で鹿児島黒豚とんこつチャーシューメンを。

ああ、うまい。旅先のラーメンは格別。スープも全部いただいた。

72席の小さな飛行機に乗って屋久島へ。おお、洋上のアルプスが見えてきた。

到着後、車を借りてさっそくドライブ。屋久島の森に行ってみる。


  


屋久島は標高の低い里山の方は、基本的には照葉樹林。しかし、上にあがるにつれて、私も良く知っている落葉広葉樹も出現してくる。

クマシデ、リョウブ、カエデ、ヒメシャラ… 新緑真っ盛り。離島ゆえの固有種も多いのだろうが、私が住む浅間北麓の多くの樹種が屋久島を南限としている(三宅線)。植物相を中心とした風景は、思っていたほど極端には変わらなかった。


  


初日は心と体の足慣らしに、登山客というよりは観光客の多いヤクスギランドへ。

ヤクスギランド入り口には、雄のヤクジカが現れた。あとで聞くと、どうやら観光客が餌をくれるので、いついてしまったヤクシカらしい。残念なことであるが、この愛らしい目を見るとその気持ちもわかるような気がする。


  


ヤクスギランドの散策ルートはとてもよく整備され、登山靴でなくても普通の靴で問題なく歩くことができる。屋久島を南限とする冷温帯の樹木たちも、基本的には温暖な気候であるので大きく育っている。左の写真はツガ。

古来より神木とあがめられ誰一人伐る者はいなかった屋久杉は、西暦1635年から年貢を納めるために本格的伐採が始まった。島民は深い山に入り、何日間もかかって巨木を倒し、長さ60cm・幅10cmの薄板である平木(屋根をふく材料)に加工して背負っておろしたという。

江戸時代に伐った屋久杉から、今や新たな樹が立派に育っている。その切り株更新と倒木更新が交じり合った、巨木の森を歩いていく。


  


かつて平木の加工に適さないとみなされた木は、伐ったものでもそのまま放置されたようだ。これが現在、土埋木(どまいぼく)となって、屋久杉工芸品の貴重な材料となっている。

屋久杉は樹脂を非常に多く含んでおり、200年〜300年経った現在でも腐ることなく残っている。この温暖な気候で奇跡的だ。とても細かい年輪をしていて晩材の割合が多いので、比重が重く強度が強いことは私にも解かる。

また、佐伯浩著「この木なんの木」によると、スギの性質として“早材の終わりから晩材にかけて黒っぽい内容物を含む樹脂細胞が接線状に分布する”とある。もし、年輪の間に必ず樹脂細胞の層ができるのであれば、それが樹脂の多い理由なのだろう。


  


屋久島の森では樹木が一列に並んで生えているところをよく見かける。これは倒木更新が行われた跡。土の上より倒れた木の上のほうが種が発芽成長しやすいのだ。

そしてコース一の見どころ、仏陀杉に到着。受講21.5m・胸高周囲8.0m・樹齢1800年の巨木。

仏陀杉は、樹木医さんが治療しているテレビ番組を去年見た覚えがある。確か水はけを良くする治療をしていたはずだが、根回りに水溜りが見られた。恐らくもっと先、細根部分を治療したのだろう。

ここで一句。

 屋久島の 仏の前に 立つ仏     naturekimura


  


林床に転がっている石は、よく見かける花崗岩である。これが島全体を覆っており、その上にわずか数十センチの脆弱な土壌があるのみなのだという。樹木がなかなか大きくならないらしい。

コース内に鉄柵が設けられていた。これはヤクシカが稚木を食べないようにするためのものらしい。確かに柵の中はさまざまな樹種の稚木が育ち始めていた。この森では地面の上で芽生えてもヤクシカにすぐ食べられてしまい、結果として倒木の上で芽生えたものが生き残り大きくなっているようだ。

杉の若木を触ってみると、葉がとても鋭く、触ると痛い。嬬恋村の杉とは違う。これも、ヤクシカの食圧により進化したのだろうか。


  


魅力たっぷりの屋久島の森。夕方になったので、名残惜しいが次のポイントに向かう。

道路際に見られる針葉樹の若木はみんな杉。こんな光景は初めてみる。嬬恋の場合、アカマツやカラマツがこうなっているのはよく見かけるのだが。

車で10分走り、樹高19.5m・胸高直径8.5m・樹齢約3000年の紀元杉へ。手前にいる英美子さんとの大きさを見比べてほしい。今回の旅行で触ることができた樹木では、この樹が一番の老木/大木であった。

※後日、調べていると幹周り13.5mという情報が出てきました。確かに今思えば、8.5mよりも大きかったように思います。どなたか真実をご存知でしたら教えてください。


  


帰り道では、ヤクザルが出てくる出てくる。ずいぶん人間に慣れているサルだ。この道は内地からのツアー客が大型バスで来る道だろうから、餌をもらおうとしているのかもしれない。小さいサルで、悪戯しそうではなかった。

民宿で一息つくと、明日からの縄文杉ツアーガイドをお願いしているパーソナルエコツアーの青木さんが打ち合わせに来てくれた。

屋久島パーソナルエコツアー
http://www.relaxin-yaku.com/

縄文杉までの道のりは長く険しい。前の日にお客様の泊まっている宿にレンタル品を届け、打ち合わせや用具のチェックをするのはとてもいいことだと思う。これで明日のガイドさん本人が来るともっと良いのかもしれないが、ガイドさんは早朝出発する明日の準備で忙しいのだ。来れないのは当たり前。

屋久島パーソナルツアーさんのホームページは、万座温泉日進舘のホームページを作っていた時から、SEO対策の見本としてよくチェックしていた。本当に立派なホームページで感心する。実際に切り盛りしている奥様にお会いできてよかった。


  


民宿へのチェックインも遅くなりバッタバタの予定だったので、初めから素泊まりで宿を取ってくれていた。夕食は近くの居酒屋「漁火」へ。

ここの料理はとても美味しい。屋久島は鯖(サバ)が名物のようなので、鯖の刺身、鯖茶漬け、鯖汁なんかをしこたまいただいた。あーしあわせ。

ご主人の牧敢男さんが島らっきょうや焼酎・三笠を一杯ずつおごってくれた。ご主人と常連さんと一緒にハイチーズ。