インタープリター・インストラクター養成講座2009 3日目



講座11.上州三原インタープリテーション 講師:木村道紘、SY

この講座は、夏のリーダー養成講座の際に実施したかったのだが、夏は突然の大雨で中断してしまったので、インストラクター講座に無理やり入れ込んだ。その分、講座拘束時間は長くなったが、結果的に実際のインタープリテーションを見せることで、自分なりの実施イメージをつかんでくれた受講生もいたようだ。

ネイチャー木村の森林・樹木・植物感とSYさんの木の家・暮らしの解説、そして聞き込み調査からなる当地のお話。この二人がタッグになった上州三原インタープリテーションは、地域案内としてはほとんど最強の感がある。配布資料は、私の案内覚え書きノート、会員でライターの吉井さんの三原の取材記事、黒岩郷土資料館長の古民家えんでぐ資料の三つ。これを読み込んでしまえば、もう立派な三原インタープリターになれる。

何度やっても三原の集落サイズはほっつき歩くのにちょうどいい。天気も良いし、浅間山も見えて気分が良いなあ。受講生には太田講師から、「目的を持った小旅行として、何か気づいたもの、伝えたいもの等を各自5事象以上持ち帰ること。」という課題が出ている。熱心にメモをとっていたが、半分は楽しんでもらえていたら嬉しいのだが。


  


前半、丁寧にやりすぎた感はないのだけれども、やはり二人の専門家が交互にお話し、しかも他にも先生が色々いて、あーでもないこーでもないって話するから、どんどん遅れてしまう。

先日の下見で、石置き屋根の痕跡を見つけておいて良かった。参加者も感激していた。

阿弥陀堂あたりでは予定より20分以上遅くなっていた。なのに無理やり篠笛。「う〜さぎ お〜いし か〜のやま〜」
本当はNAOTOのサンクチュアリ練習していたんだけどね…

このコースでは後半に大きな樹木が続く。ここでは今日は説明している暇がないのに、みんな立ち止まって動かない。何か樹木からのメッセージを受け取ってしまったのだろうか。この講座に来る人は、そういう人が多いのだろう。だから最期のケヤキの大木の前では、少しだけ樹木の心に迫ったインタープリテーションをした。心に残ってくれたろうか。


  


講座12.森林環境教育 企画の手法 講師:太田祥一

今回のメイン講師は、この人、群馬県庁の太田祥一さん。祥一と書いてよしかずと読む。最終日の順番は良かった。朝一に実際のインタープリテーションを体験し、実施イメージを得て、さらに気づいたことなどを5つ持ち帰ることで自分なりの感性や表現方法、求めているものことに気づくことができる。そういった「思い」のようなものを沸々と込み上げさせておいて、企画の手順(思い→マーケティング&ポテンシャル→まとめ→コンセプト設定→事業計画)を学習し、それに落とし込んでいくのだ。

企画についてさんざん取り組んできた太田講師は、当初、「企画の講座で5時間では少なすぎる、せめて1泊2日位はなくては…」と仰っていた。もちろん、練る時間が長い方が良い企画になるのだが、この養成講座では企画がメインではあっても、さまざまなエッセンスを受講生に渡したいと思っている。だから、なんとか5時間でおさえていただいた。

今年の受講生も、いい人材がいる。熱意ある発言が聞こえてきて嬉しい。


  


そして、各班が自分たちの案を発表。

1班「森と音楽の響き 〜Forest concert〜」
2班「Ecoで生活!しゃくなげ My hashi 〜熱帯雨林を救おう!!」
3班「I Love Forest Relaxation 〜嬬恋で自分に合った癒しと出会おう〜」

うーん、どうも私の影響が出てしまっているような気が… ま、いいんだけどね、ま。


【筆記試験】
あなたは、当会のインストラクターとして、これからどのような「理念」の下、どのように関わっていこうと思っていますか。今回の講座受講をふまえて、具体的な例を上げて200字以上で述べよ。

この試験はそう意図したわけではなかったのだが、結果的に、太田講師の「企画の手法講座」で学んだ企画意図シートにも通じる設問となった。

 理念(思い)を、どのようにして具体的な関わり方(事業計画)に結びつけるか

当会のインストラクターならば、明確に思い画く事ができていないと困るのだ。

回答の中には、ご自分が実現実施したいことを、当会の活動の中に具体的なビジョンとして落とし込んだ素晴らしい回答もあったが、中には「これまで○○の活動をしてきた。これからも頑張って行きたい」などの、設問に対して回答があっていないものもあった。これまでの活動だけの記述にとどまらず、今回の講座受講を踏まえた何かがほしかったと思う。

しかし、全体的には「理念」も、「これからの関わり方」も十分な記述があったと思う。短い時間で皆さん、よく書き上げてくれたと思う。あのような論文を書くことができる方々と共に活動できることを大変嬉しく思っている。今後がとても楽しみ。


しかし、後で回収したアンケートを見て少しテンションが下がってしまった。それは、この講座に来ることでインタープリテーションの技術や知識を取得することができる…と思っている受講生がまだいたということ。そうではない。そうではなくて、この講座はこれまで実施してきたインタープリテーションの成果を発揮し、認定を受ける講座なのである。ここが間違ってしまうと、また小崎トレーナーに「ハードルが低い」と注意されてしまう!

それでも、私は当会の養成講座ほど、身の丈にあった講師陣と講義題材で行っているところはないであろう自信はある。世界を飛んでまわり啓発活動を行えるインタープリターを育成するつもりはない。遥かなる山や海を越えた世界のものは、私達の体を構成する血や肉に流れていないからだ。(但し現代は世界中の食材が流通しているが…)だから私達は自分たちの体が発する声のままに、自分の知っている地域のことや、自分に聞こえてくる自然の声をお伝えするのだ。

そして、当会の型で10年我慢してもらわないと取得できない資格などはつくろうとは思わない。感性も表現のあり方も、人それぞれでさまざまだから、自分以外のものにも、自分自身にもかけがえのない価値があるのだ。当会に型を作ってしまったら、アイデアを自らの個性から生み出すことを忘れてしまった、この大不況日本の、1億人のマニュアル人たちのやっていることと同じになってしまう。そういう型やマニュアルを推進しようとする人は、多様で揺らいでいる自然・野外環境のメッセージを伝えるインタープリターには向かないだろう。

だから、当会は多様なものことひとのるつぼであり、揺りかごでありたいと思う。そしてインタープリター養成講座は身の丈通りの小さな器に見合った、満たされた講座を続けて行く。

今年の講座は、講座前に講師陣との打ち合わせで気がつかせていただいたことが多かった。感謝いたします。


  




※2011年度は、エコツアーガイド養成講座のみ実施いたします。
インタープリター養成講座は実施しません)


エコツアーガイド養成講座
http://ecotourism.or.jp/guidecourse.html