鹿沢「いこいの広場」周辺整備と小桟敷山癒しのハイキング
群馬県から、【森の体験ふれあい事業】というのを企画してみませんか?とオファーをもらい、当会では「森で楽しむ達人になろう」というイベントをシリーズで行う。今日はその第1回目のイベント。住田会長が担当する。
午前の講師は湯田さん。しかし湯田さんも、「何をどうするか決まっていない森林整備の講師は初めてです」と仰る。うーん確かにそりゃそうだ。午前中は【湯田さんと考える「いこいの広場」周辺整備】という題目になった。
とりあえず、鋸と剪定ばさみを持って移動。自然観察会も含めての整備イベントとなる。
この付近は高山植物も豊富にある。ササバギンランなども見られた。
途中で、結婚植樹のシャクナゲが枯れてしまっていて、通り道で目立っていたので伐る事になった。枯れた理由は何だったのだろう。光が足りないのであれば中心部がもっと枯れるはずだし、光が強すぎるのであればもっと何本も枯れるはずだし。
かつての「結婚の森」に到着。まずはここの整備をすることになった。
「結婚の森」への入り口をまずまずきれいにして、この後、東屋からトイレに続く道や、トイレに蛇が侵入しないように裏側の藪を刈り払ったりした。
今回のように、どのような森にしたいのか自分達で考えさせ、デザインさせ、整備させる…というのは、環境教育プログラムとしてはとてもいいと思った。対象が子供でも大人でもどっちでもいいと思う。嬬恋村には土地はたくさんあるのだから、「○○中学校の森」とか「△△小学校の森」とかつくって子供たちにデザインさせるのも面白いのではないか?自然保護の深い理念と学識を持つナチュラリストが監修の下なら、面白いことになると思うのだが。
しかし「結婚の森」という構想は、現在の「愛妻の村」構想と同じ匂いを感じる。昔から、そういう方向性で村おこしをしようという考えが役場にあったのだということが解った。
ここのクリンソウは、万座のよりも色がい濃いような気がする。この時期、最近は山に入っていないから忘れてしまったなあ。
森林整備だけではつまらないかも知れないので、午後からは我らが会得意のトレッキングガイドである。少し方向性を変えて“癒しの”ハイキングとした。担当インタープリターは斉藤輝子さん。
初めの登りは結構急で参ったのだが、少し登るとすぐに開けたところに出た。高木もかなり伐採されており、疎らな白樺とレンゲツツジのコントラストがいい。しかも観光客による踏圧が無いせいか、下層植生は豊富で、山野草は多い。スズランの群落も良かった。
こんな場所があるなんて知らなかった。ざわざわした湯の丸ではなく、しっとり静かにレンゲツツジを鑑賞したい方にお勧めのスポットだ。“癒しの”スポットになるかも?
途中で雨が降ってきて、少し引き返したら太陽が出てきた。迷った末、やはりイベント続行。山頂を目指す。
1,852mの山頂付近は厳しい気象条件のため奇形樹、変形樹が多い。モンスターのような表情のカラマツは印象的だった。
そして、ようやく会えた。小桟敷山山頂付近の3本ブナ。数年前、山下さんが信州大学の井田助教授を案内した時の写真をとあるメーリングリストで送ってきていて、その存在は知っていた。先ほどのカラマツ同様、厳しい気候のせいで複雑な樹形をしている。ストレスを与え続けると木も人間も歪んでしまうのだなあ。だからなおさら、そういうところにある木には触って挨拶をしてあげたい。
ところで気になったのは、林床にブナの稚樹が育っていないということだ。現在の林床は松葉で覆われていて、マツ類のフィトンチッドで発芽できないのかもしれない。では現在の成木のほうはどうか。これは、かつては小桟敷山にたくさんのブナが生育していたことを物語っている。やがて乾燥化か寒冷化のいずれかが進み、ブナよりもマツのほうが生育適地となったのだ。
しかしこのまま温暖化が進んでいけば、100年後にはブナが芽生えるチャンスが生まれるかもしれない。温暖化で生息地が消失するものばかりがクローズアップされる現代だが、温暖化で縄文時代の植生分布に復活できる種もあるのだ。自然の営みは人間には計り知れない。また、このブナは今後温暖化で新たに生まれるニッチを埋めていく役割を担ってくれそうな気がする。よく今日までもってくれた。そして私と出会ってくれた。
そして山頂へ。山頂では、みんなで一緒にヨーガをやる。“癒し=ヨガ”という無理やりな公式を平然とやってのけるのがうちらの良いところ。だってヨガハイキングよりも癒しのハイキングのほうが集まるでしょ?
とりあえず、本音はどう思っているか知らないが、参加者の反応は好評だった。
思ったこととして、狭く、平らではない山頂では、参加者は見本の人の体の動きを見ることができないので困難である。例えば高台があるような場所なら、見本の人に上ってもらい、説明する係に号令をかけてもらえばやりやすいと思う。でも、サヴァアサナ(完全弛緩のポーズ)は、野鳥の声、木々の葉擦れ音などが聞こえてとても良かったし、これからも無理やりヨガを取り入れていこうと思う。
帰りも通ったレンゲツツジの平原。ああそうか、次回は一旦山頂を踏んでから下山の途中、ここでヨガをやることにしよう。