森林医学


森林医学


  • 森本兼曩(編集),平野秀樹(編集),宮崎良文(編集)
  • 出版社:朝倉書店(2006/06)
  • 価格:¥6,825(税込)
  • 370ページ
  • 発売日:2006/06
  • 商品の寸法:21.4x14.8x3cm



発売と同時に購入した本書であったが、当時はその前に抑えておかなくてはならないことがたくさんあったため、本棚の肥やしとなってしまっていた。11月に森林セラピーに関する講義を受け持つことになり、ようやく本書を読むに至った。



故神山恵三氏が日本にフィトンチッドという言葉とその作用を紹介し、当時の秋山林野庁長官により「森林浴」という言葉が生まれてから20数年経つものの、この効能の生理的な影響について医学的なデータが少なく、根拠が客観的に整っていないとされてきた。“森林浴は体にいいらしいですけれど、数値化され証明されたわけではないですからね”と。ところがここ数年人の生理反応を計測し、医学的に解釈する技術が急速かつ飛躍的に進んだ。唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)濃度、血中・尿中のカテコールアミン濃度、fMRIによる脳の各部位ごとの血流量などの生体反応変化を指標に、森林やフィトンチッドの人体への影響を評価することができるようになったのである。



本書には医学的なエビデンスをしっかり提示するために、世界中の膨大な医学系論文の海から最終的に1100余りを抽出し、分類し体系化したという。



実際、感覚的に森を求めるのは森で進化してきた人類として当然のこと。こんなあたりまえのことを計測してなんになるのか?ということも学者さんたちは事細やかに計測し提示している。確かに科学者としては「言い伝え的に森は身体いいらしいので…」では済まされない。大変ご苦労様なことである。しかし、読んでいてちょっとくどいと思った。本書は森林セラピーバイブルの序章としてそういうのを何度も繰り返し提示するのはいいが、この次のバイブルはもう少しまとめてくれると助かる。あなたたちのことは、もう誰も疑ったりしていないので。



今後、本書の刊行に関わった森林セラピーソサエティという団体が、森林セラピストを認定していく。その資格取得を目指す方は、一読しておく必要があるだろう。



森林セラピーソサエティ

http://www.fo-society.jp/



森林セラピーガイド、森林セラピスト概要

http://www.fo-society.jp/download/therapist.pdf