万座カラマツ天然林案内人養成講座



ついに、公に万座でスノーシューができる…!吾妻森林管理署がリーダーシップを取り、万座の類稀な天然カラマツ林を保護啓蒙していく上での養成講座を開講してくださった。ここまで騒ぎ続けてよかった、よかった。

吾妻森林管理署 田尻署長をはじめとして、嬬恋村観光商工課、万座温泉観光協会環境省万座自然保護官事務所の方々が挨拶をした後、講座が始まった。下谷観光商工課長の観光ビジョンがとても美しいと思った。

講義はまず、嬬恋村からの硫化水素ガスの性質や危険性について、過去の事故例等の詳しく説明があり、次に湯田さんからカラマツについての話、特に万座のカラマツはどのような特徴を持っているか…などのお話があった。これが午前中の内容。


  


午後からは早速現地。待ってましたあ!インタープリターはやっぱり野外に出てなんぼでしょ。

弦ヶ池の駐車場は広い。充分、本コースの駐車場として機能できる。

コースに入って100m程で、いきなり迫力の仁王松。竹之内さんが早速登ってポーズ。撮影会になってしまった!?

湯田さんの案内でさらに中へ。今回の制定も、湯田さんの働きかけがとても大きかったことは重々承知している。不思議なことに湯田さんには借りを返しきれてないうちにまた借りができてしまう。困った。


  



少し歩くと白根沢に到着。ここから先の沢には、入っちゃいけないことになった。こういうところに立ち入り禁止の札を参加者で取り付け、深い理解と責任感を持たせるのだ。上手いやり方だ。

先に吾妻森林管理署の方々でロープを張っておいてくださったのだが、このロープの結び方に当会の大島理事チェックが入った。結びが甘いらしい!

カラマツ生立木に生えていたこのキノコ。図鑑で調べてみたが同定できなかった。カラマツ生立木とは珍しい。しかし、よく考えると伝五郎池付近のコメツガ樹洞にも似たようなものがあったような気がする。


  


大きな瘤を持つカラマツには「こぶの木」という名がついている。まあ、目立って大きい木でもないのでわざわざ名前をつける必要も無い様な気もするが、地理的に理解するにはいいのかも知れない。裏側にあったハクサンシャクナゲには花芽がいっぱいついていた。

そしてお気に入りの場所、しなや樹(ぎ)へ。しかしこのルートでは「しなやぎカンバ」という名前が付けられたようだ。まあいいけどね。皆さん美しくしなやかな枝ぶりにしばらく見入っていた。先頭が出発したというのに、樹木フェチの人達がいつまでも残って感動を分かち合っていた。この樹のロケーションなら、無理もなかろう。


  


「しなや樹」との別れを惜しみながら次のカラマツへ。

この、名の無いカラマツは直径94cm。凍裂と思われる深い裂け目があり、そこに樹脂が充満し始めている。樹木が傷の塞いでいく経過を見せて差し上げるのもいいだろう。そしてもしこの樹があと20年生き続けてくれたなら、その時裂け目はかなり塞がっていて、きっと今回の私の写真が役に立つのだろう。


  


次はこの「龍顔の松」。この樹は幹がでこぼこしているので、直径はその外周となり130cmを記録している。

どの枝が龍に見えるか解かりますか?

龍顔の枝の後ろにあった枝が面白いことになっていた。幹のように太く上に伸びた枝に向かって、後から主幹の後生枝が伸び、ぶつかってしまった。そしてそれは組織が癒合することなく、後のほうが枯れてしまったのだ。これ、くっついたら面白かったのになあ。


  


そしてまた少し、カラマツ林の中を歩く。この間隔がちょうど良い距離になっている。一般の方々の気晴らしにうってつけだ。

この樹は、「マザーツリー」という名を持っている。上を見上げると、かつて母樹林としてカラマツ球果を採種するために枝打ちをした跡がはっきりと解かる。昭和36年〜昭和50年の間にそう記録されているが、実際にはもっと前から採種されている。幹は裂け目は広く深くなっており、アカマツのように見える。印象的な一本だ。


  


そしていよいよ、草薙カラマツへと向かう。この森の主であり、国内最大級のカラマツが万座にある。

この樹のまとうオーラに触れると、誰もが思わず見とれ、固唾を飲み込んでしまう。この巨木に向かい合う時は、厳かにありたいものだ。

その時、杉田さんが「ねえ上を見て、すごい虹よ!」と言った。見上げるととても不思議な虹が頭上で弧を描いていた。これは、環天頂アーク、または逆さ虹という。…生まれて初めて見たかもしれない。草薙カラマツが奇跡を起こしたに違いない。本当にそう思っている。

環天頂アーク
http://www.asahi-net.or.jp/~CG1Y-AYTK/ao/circum.html


  


ナンバー2の戦国カラマツの下には、「大いなる母の木(ショハーの木)」がある。この樹は、この森の中で最も美しい樹幹を持つカラマツ。まあるく、まっすぐで、とても太い。竹之内さんが早速抱きついていた。名の由来は、昭和37年に万座のカラマツ母樹に逢いにドイツのショハー博士が、抱きつき感激の涙を流したというもの。この樹かどうかは定かではないが、この森を代表する美しい樹形のカラマツであるこの樹を、そう呼ぶことになったのだ。

この樹の人気もすごいものだった。皆なかなか次の場所に移動しようとしなかった。


  


たっぷりと天然カラマツ巨木林を満喫し、弦ヶ池へ向かう。本当はここでは道路にいきなり出てしまうのは歩道がないのでちょっと問題なのだろう。道路脇でも白根沢に橋ができればいいのだが…。

最後に、万座温泉観光協会から「万座天然カラマツ母樹林の案内人養成講座受講終了証」をもらって講座はおしまい。コースとしては、インタープリテーションと休憩を入れて150分位が妥当ではないだろうか。

とにかく、嬬恋一の素晴らしいスノーシューコース運用が始まった。万座の森はまだまだ、ストーリーはこれから始まる。