森林と日本人 ― 森の心に迫る

  森林と日本人―森の心に迫る

  著者 北村昌美
  発行 小学館(1995/11)
  単行本413P
  サイズ21x15cm
  ¥4,893



Amazon.co.jpで検索しても新品は手に入らず、最終的には中古で購入した本。私のように直球勝負の人間にとっては、読み始めのうちは回りくどい文章が、本書の厚みに合い重なって、「この先どうなることやら…」と思うだろう。いやそれとも本書は、文学的なエッセンスを持っていないと読み切らない本なのかも知れない。しかし読み終わった感想としては、時間があれば繰り返し読んでみたいと思った。



それは、私は今のところインタープリテーションの材料として読書する場合が多いからなのだろう…か。前半は使えるネタがあまりなく、最終章?【森と語る】では気に入った文章をいくつも見つけた。



『…これという目的もなく林内を散策するのがドイツ人の楽しみ、目的もなく車で高速道路を疾走するするドライブが日本の若者にとっての楽しみという現代…この100年、一貫した思想なく森林とつき合って来た。ドイツの緻密な林学に基づく整然とした人工林に見せられ戦後の増伐と拡大像林、批判されるとたちまち世論は自然保護へ、一貫した理念なく翻弄された日本の森林と自然への思想、一貫しているのはただ変わり身の早さだけ…かつて日本人には“木と話をする”くらいの心がけがあった。日本人は西欧の合理的な森林施行を見て、古い思想を恥ずべき考え方と位置づけてしまい、自然の上に人間が立つ考え方を推進してしまった。しかし、事実は全く違っていた。素朴な信仰心を持って自然と一体感を持っていたのは日本人だけではなく、世界中が元々そうだったのであった。日本の現代の失敗など西欧は昔に経験済みだったのである…。』



時間があれば、本当にもう一度熟読してみたい。