森林環境科学


森林環境科学



164ページで¥4,095とはずいぶん高額な本である。しかしその内容は高度かつ専門的で、なるほどと納得させられてしまった。只木さんの本を簡単そうなものから順番に読んで3冊目だが、読む順番を間違えていたら本書を理解できなかったかも知れない。



長年にわたる調査から得た膨大な計測資料を基に、森林環境を科学的に解いていく。私がこれまでに読んだ本の中では最も付箋を使用した。その数26。科学的な裏づけを基にしたインタープリテーションを求める私にとっては座右の銘の書となった。



そして、筆者に対して私が最も共鳴した処は「地球と人類の位置関係をわきまえている」ところだった。どこを紹介すべきか解らないが、【おわりに】から引用する。



『 …「地球にやさしい…」、環境問題によく使われるこのコピーは、なかなかスマートで一般受けがよろしく、はやり言葉となってかなり時間が経ちます。しかし私はこの言葉にははじめから抵抗感を持っています。…(中略)…「やさしい」は概して、親と子、年上と年下、上役と下役、先生と生徒というように、優れた者が劣った者に、また強者が弱者に及ぼす行為が思いやりをいいます。したがって、ここで「地球にやさしく」しようとしているのは「人」でしょうから、人の方が地球より偉いことになります。これは全く逆です。この言葉は地球に対して失礼です。環境を守るのは地球に対して「してあげる」ことでしょうか。否。それは「人間が住める環境」を維持しようとするわけで、人間自身のためなのですが、そこがよく理解されていないようです。…(中略)…「地球と友だち」というのもおこがましい言葉です。友だちというのは対等の関係なのですから。人類は地球の間借り人、いや居候です。「地球と友だち」というのは、居候が家主を友だち呼ばわりしているのと同じです。自分の力を鼻にかけて暴れ回った孫悟空が、実はその掌から飛び出せなかったお釈迦様に、友だち付き合いを申し出ているようなものです…』