パパラギの本 二冊


パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集


絵本 パパラギ―はじめて文明を見た南の島の酋長ツイアビが話したこと

サモアの酋長ツイアビは、1915年ごろヨーロッパを旅して帰ってきた。日と日の光の自由な子であるツイアビには、パパラギ(ヨーロッパ人)の築き上げた文化的業績や教養と呼ばれるものは、単なるまやかしにすぎなかった。彼は鋭すぎるほど冷静な、先入観にとらわれない観察力を持っていた。彼の前ではどんな言葉も真理をおおい隠すことはできなかった。彼はいつも、ものごとの本当の姿を見つめていた。そんな彼が、愛するサモアのきょうだいたちにパパラギのことを聞かせようと準備していた演説集。ツイアビの言葉は、パパラギの魔力を警戒し、それにとらわれないようにと呼びかける。その声は痛みに満ち、人間愛に溢れ、大いなる心とともにある。



私は先に絵本のほうを、単行本のほうを後に読んだ。どちらの方が良いのか解からなかったので、両方買ってしまったのだ。しかしこんなことを酋長ツイアビに知られたら、こう言われてしまうだろう。



「私がおまえに何か質問するとしよう。私の口がまだ閉じていないのに、おまえは私めがけて答えを発射する。おまえの頭にはいつでも弾丸がこめられていて、いつでも撃てるようになっている。おまえは自分の頭をもっとも早い銃に仕立てるために、その生涯の最良ときを費やしてしまうのだ。逃げようとすれば引き戻される。おまえは知らねばならない。おまえは考えねばならない。しかし私たちは考えない!なぜなら私たちは、私たちのからだをいっそう強くし、心をいっそう楽しく快くすることでなければ、何もしてはならないし、することは許されないからだ。私たちは、私たちの暮らしの喜びを奪うすべてのものから、自分を守らねばならぬ。心をくもらせ、明るい心の光を奪う全てのものから、私たちの頭と心を戦わせてしまう全てのものから自分を守らねばならない。」