山渓カラー名鑑 日本の高山植物


  日本の高山植物


  著者 豊国秀夫
  発行 山と溪谷社 (第1刷1988/08、以後随時更新)
  大型本719P
  サイズ (cm): 21 x 20
  ¥4,720



〜まえがきより〜

…そのころ山に登るたびに夢のようなことを考えた。それは、1冊で登山口から山地帯、亜高山帯と登山道に沿って見られる主な植物がわかり、高山帯に足を踏み入れるや、そこに生えている種子植物とシダ植物や地衣力物もわかる本、そして何よりも写真が美しい図鑑があったら、どれほど登山が楽しくなることだろう。それから42年を経て夢が実現した。



今から200万年前から4回の氷河期があり、その前の2回の氷河期と合わせて北半球では6回の氷河期があった。最後のヴェルム氷期には海面が140mも低下したといわれる。氷河の南下と共に移動してきた氷河植物群(極地高山植物群)は、氷河の拡大によって生じた寒冷な気候が支配する地域を中心に分布域を広げていった。やがて後氷期となり地球は温暖になり、日本列島は日本海によりアジア大陸から隔離された。日本の各所に分布した高山植物たちは、より高山に追い込まれ地域ごとに交配不可能な隔離状態となった。高山植物たちの中には形態変化が起こらなかったもの、種内レベルでぼ分化が起こり亜種や変種になったもの、種レベルの分化が起こって全く別種になったものまで現れた。…これが、日本の高山植物の地域独特性、多様性な種の誕生につながっていった。



まえがきに続いての高山植物についての説明、植物分布の各林相の説明、後半には高山植物花旅ガイド、そして図鑑中随所にワンポイント・リサーチとして専門的な見分け方、分布と検索についてが載っており、同定にこだわる人にとっても助かるだろう。高山植物好きの人にはたまらない一冊。