森に学ぶ101のヒント


森に学ぶ101のヒント

  • 編集 (社)日本林業技術協会
  • 出版 東京書籍 (2002/02)
  • 単行本225P
  • ¥1,470


100不思議シリーズを『熱帯林の100不思議』以外全て読破したので101シリーズに着手。しかし、101番目は書籍紹介になっており実際のヒント項目は100項であった。



「森林の姿」「発芽から結実まで」「森林を詳しく知るために」「水・土・大気と森林」「くらしと森林」の5章に分け、そこに各20項のヒントが記述してある。初心者向けのもの、専門的なもの、内容はさまざまだが、以前の100不思議シリーズよりは読みやすい。編集側が慣れてきたようだ。



【16.永久凍土の森の生い立ちは山火事から?】

前略…シベリアのカラマツ森林生態系では、永久凍土のおかげで土壌は低温に置かれ、土壌中に植物遺体(有機炭素)を大量に蓄積します。地球上の北方林全体は、熱帯林全体の炭素蓄積(植物体と土壌中の炭素を合わせた量)の二倍を持っていると推測されています。しかも、両者の総面積には大きな差はありません…



【21.出るべきか、出ざるべきか?】

…種子にとって、「どこでいつ発芽するか?」は一生を左右する大きな賭けといえます。種皮に包まれている種子は感想や低温などの厳しい環境条件にも耐えられるのに、小さな芽生えは生活史の中で最もしに安い危険な段階だからです。ひとたび発芽すれば、移動も後戻りもできません。時期はずれの発芽や見当違いな場所での発芽は、芽生えの成長に不利なだけでなく、まさに命取りにもなります。そのため、芽生えの定着に適した環境条件にならないと発芽しないよう、いろいろな生理的な仕組みを備えています…



【90.気がつきましたか、あの絶景】

…特徴的なものの一つは、手前の樹林地を透かして、向こう側の山や水辺を見る構図です。このように自分は少し囲まれた感じのところにいながら、遠くや対岸などを見渡す構図は、森林の風景に限らず、よい風景として感じられやすいことが、いろいろな分野の研究から示されています。例えば、多くの風景画の中にも似たようなモチーフを見かけることができます。こういった現象は「眺望−隠れ家理論」と呼ばれ、野生の中で人間が生きていくために好ましい空間の一つだったのではないかと推測されています…