星座の話


星座の話


著者の野尻抱影氏は1885年神奈川県生まれ、研究社編集部長、早大・毎日天文館講師、五島プラネタリウム理事等を歴任、星の研究家として活躍し、著書多数、1977年没。



天文学では地球上の国分けや県分けと同じように星空を星座に区分して全ての星を各星座に付属させています。この宇宙の国や県は、地上で山脈や河川で区切っているのとは違って、ギリシャの神話に出てくる神々や国王、王子、王女、半人半獣や鳥獣、時には器具などの形で現されています。星図の絵を見ると、いかにも不思議な姿の行列になっていて、天文学というむずかしい科学には似合わないのに驚かされます。そういう事を著者はこう書いています。



天文学は初めは取り付きにくい科学の殿堂であるが、その庭先には、他のどんな科学も持っていない星々の花園があります。そこで、ギリシャ・ローマの星座神話・伝説を聞いて星々に親しんでいくと、いつの間にか宇宙奥殿に導かれています。」



天文学は日々進歩していくので、数値に関してはすでに古い感があるが、それを承知の上でこの本を読み、世界の星座物語を楽しんでほしい。ベテルギウスやアンタレスの正確な大きさよりも、星座が生まれた5000年前の古代人達が見ていたのと同じように今も輝く夜空の地図を、当時と同じ物語を思い浮かべながら眺められる事の素晴らしさが解るでしょう。