草津町・ザゼンソウ公園

さて、今日は春でもないのにザゼンソウ公園に来ている。お目当ての花には会えるだろうか。

公園に入ると、いきなり木道上に大きな松ぼっくりが点々と。松の実がアーモンド大である。ヨーロッパトウヒ(マツ科トウヒ属)だろうか。付近にはヨーロッパトウヒは見られないのだが、恐らくこの木道の上がリスのお気に入りの食事場所なのだろう。 ※真田町ではヨーロッパトウヒの事をドイツトウヒと言います。
↑訂正:チョウセンゴヨウです。(2004/11/22)

さらに進むと上から何かが降ってくる。ポトン、ポトン。
これはコナラ(ブナ科コナラ属)のドングリ。今年の山の木の実は豊作、豊作。リスもカケスも大喜びなのだ。

さらに進むと、オニグルミ(クルミクルミ属)の木の下にはアカネズミの食痕が。アカネズミはこうやって割れ目部分から綺麗に丸く穴を開けて中身を食べるのです。裏側もこうなっていました。驚きですね。


 


草津ザゼンソウ公園にはニホンミツバチの巣があります。

「ミツバチマーヤの家」は公園中ほど、遊歩道沿いの大木の樹洞にあります。…木の種類は解りませんでした。ミツバチは盛んに出入りしていました。ニホンミツバチはセイヨウミツバチに比べて少し地味な色をしています。そうして、上信越高原では花の受粉は主に高山型のマルハナバチが担当するのでミツバチは少ないのです。

この頑丈な樹洞でならツキノワグマにも襲われないでしょう。来年もポリネーターとして活躍してほしいものです。


 


では花を見ていきます。

まずダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属)を発見。もう時期も終わりで最後の一本か。

ミゾソバタデ科タデ属)はすでに紹介済みだが、アップすると綺麗。小さな花がいくつもついている。

オオウバユリ(ユリ科ユリ属)はこの春、根をうま煮にして食べてみた。…味は良いのだが根は晩秋か冬に採るべし。春は虫が孵っていて取り除くのに一苦労。


 


公園で群生しているのはオクトリカブトキンポウゲ科トリカブト属・毒)ではないでしょうか。茎の斜上が著しい。

マムシグササトイモ科テンナンショウ属)も毒草。恐ろしい花です。
この花は雌雄異株で、昆虫は雄花に入ったら花粉まみれにならないと脱出できません。そしてその後、雌株に入ったら最後、逃げ出すことができなくなります。昆虫は逃げ道を求めて、歩き回り花粉を雌しべに付け、最後には死にます。食虫植物ではありませんが、ポリネーターを殺すことによって繁殖しているのです。あー恐ろしい。

日陰ではミヤマセンキュウ(セリ科ミヤマセンキュウ属)がまだ見られます。葉がまるでシダ植物のように見えます。


 


マユミ(ニシキギニシキギ属)もいい色になってきました。この実はやがて淡紅色に熟し4つに深く裂けて真っ赤な種が現れます。初雪の頃まで実の目立つ山を彩る良い木です。和名は真弓で、古くはこの材で弓を作ったことによります。

マユミの下にはリンドウ(リンドウ科リンドウ属)がぽつんと一株ありました。

そうしてやっと見つけたアケボノソウ(リンドウ科センブリ属)。この公園には多いんです。和名は曙草で、花冠の斑点を夜明けの星空に見立てたもの。ロマンチックですねえ。まだまだ蕾ばかりでしたので、今月いっぱいは見られるでしょう。