インタープリター養成講座2007 最終日 その3

★今回の講座で15 名が新たに嬬恋村インタープリター・リーダーの資格を取得し、住田副会長の点呼の下、小林副会長から認定証が授与された。これで当会が認める21 時間のインタープリター(リーダー)養成講座を受講した人数は73 名(内退会者3 名)となり、CONE登録者は合計49 名となった。

★初日の開講式の際、嬬恋村観光商工課の下谷通様にご挨拶いただきました。お忙しいところ誠にありがとうございました。

★本講座は現在のところ損益分岐点が25 名前後となっているため、群馬県「一郷一学」の補助金を受けないで実施するのは大変厳しい状況です。2 年連続で同様の事業に補助金を適応するのは異例に近いらしく、群馬県吾妻県民局の皆様には深く御礼を申し上げます。

今回は当初、申し込み時にインタープリターデータベース登録シートを提出しなくてはならない…と、申込者のハードルをやや高く設けたため、なかなか申し込み者が集まらず、事務局は焦り奔走した。印刷したチラシ枚数はフルカラーで5,500 枚、一枚12 円なので、チラシ代だけで66,000 円の経費が掛かっている。また、頼みの綱のPPC広告群馬県のと調整がうまく行かず、予定よりも2 週間遅く広告を打つことになった。アンケートに間違いがなければこの広告で3 名の申込者を得たことになっているが、これもさらに1 ヶ月早く打つことができたら、もしかしたらもう3 名の受講者を獲得できたかもしれない。さらに先に述べた、インタープリター登録を必須とする失敗がなければ、あわせて最大10 名ほどの損失があったのではないか?…と、少し当講座の人気を過大に評価しているかもしれないが、本当にそんな気がしている。それほど、講師の個性が多様で豊かで、しかもバランスの取れた良い講座であると自負している。

先ほど損益分岐点が25 名前後になっているとは書いたものの、この料金でCONE リーダー養成講座をやっているところは、まず無いであろう。それは、講師の皆様にずいぶんなご無理をお願いしているということと、私たちが有給の事務職員を持たず、熱血の志を持ってボランティアで行っているからできる離れ業なのだ。嬬恋村で16 名の講座申し込みがあったのなら、東京でこの講座を同条件でやれば160 名ではきかないだろう。

先日、とあるNGO 団体が聞き取り取材に見えた際、インタープリター養成講座のことをお聞きになった。そのとき、「これから、私たちのインタープリター養成講座のとりうる道は二つあります。一つは、受講料金をこのまま維持し、インターネットやPPC 広告を駆使して全国から受講者を募集し実施する道、もう一つはなかなか参加してくれない地元の方々のために受講料金を落とし、全て講義講師は会員自らが行い、いつ人材が育つかもわからなくとも、地域密着型で気長にやっていく道です。」と、私は話した。しかし、現実的には嬬恋村民の所得状況は低く、また地元の自然に関心がある人はすこぶる少ない。さらにそれを来村者へ宣伝していこうという人材となると、見つけ出すのは極めて難しい。今回、5,500 枚のチラシばら撒きを行なったにもかかわらず、受講者の中に生粋の嬬恋人は見当たらなかった。取材では「どちらかというと、後者のほうを選ぶでしょうね。」とは言ったものの、自然を好きにさせることからの人材育成はさすがに熱血の志を持ってしてでも付き合いきれないだろう。

それにしても、アンケートによると今回の参加者の多くはメルマガを含めたインターネット関連で当講座を知り、申し込んできたことになっている。全国的には近年、自然体験イベントも人数が集まらず、参加者集めにヒイヒイ言っていると聞いている。その中で、群馬県補助金の交付があったことと、一昨年からホームページ対策を十分に施していたことで最悪の事態は免れた。…というか、自然体験の分野でもインターネットマーケティング力を持つかどうかが勝ち組と負け組みの分かれ目になるのは明らかとなった。世のナチュラリスト達よ、自分はインテリジェンスであると公言自負していたはず。ところでSEOSEM 対策はできているか?

しかしそんな厳しい競争社会の風当たりとは無関係に、今日も嬬恋では爽やかな高原の風がそよぎ、いい年した大人たちが持続可能な理想社会を求めて野山を駆け回っている夢実現の会、「嬬恋村インタープリター会」が活動している。この村を囲む2,000m 級の山々は両腕をいっぱいに伸ばし、私たちをがっちり抱きかかえて危険から護ってくれている。だから明日もそんなに損することは、どうせあんまり無いんだろう。