日本型環境教育の提案


日本型環境教育の提案

  • 著 日本環境教育フォーラム
  • 発行 講談社 (2000/02)
  • 単行本414P
  • サイズ21x15cm
  • ¥2,730



すでに「CONEハンドブック」、岡島成行著「自然学校をつくろう」その他を読んでいるので、さらに本書を読む必要があったとは思わなかったが、読んでみると(社)日本環境教育フォーラムの多彩なメンバーが、それぞれの思いを濃縮して綴っていた。読みきるのに時間のかかる本であった。個人的には、最初から最後まで一人の作家により物語が形成されていたほうが読みやすいし集中できて好きなのだが、さすがにこれだけのメンバーが互いに文章力や表現力を研鑽しながら一つの単行本にして出した本書は完成度の高さ、スマートさを感じた。



しかし、それは読者が道具として使うための提案書としてのスマートさであって、情熱に心を揺さぶられるようなものではない。それは本書でも1ページ目に述べてある。



日本各地で環境教育の名の下に取り組まれているさまざまな事例集を見て「うん、頑張っているな」とは思う。しかしどうもこれまでのやり方ではやったってやったって、かつての日本人が生きているだけで自然と共生し循環していた様子とはかけ離れていくのが事実。それはもう私たちは、生きていくだけでどうしようもなく地球に負荷をかけざるを得ないからだ。



だって田んぼで米を作る人がいて、畑で野菜を作る人がいて、住むところを作る大工がいて、体の悪いところを直す医者がいて、着物を作る人もいて、みんなクソして寝て、そのクソをまた畑に運んで米や野菜を作ったんでしょ?



もう私たちは生きているだけで地球生態系の共生・循環から離れていく。幼い頃のあのボットン便所で暮らしていける者がこの日本に何人いるのだろうか?私もどうやら無理っぽい。でも野グソや立ちションは今でも普通にやる。だってすると、土が喜んでいるのが解るから。



そういうことは、行政とタッグを組んでやっていると本には書けんだろうな…。根本的にはそういう人達で構成された団体のはずだが…。だから私にとっては、千代田町の川原さんや川場村の竹内さんの方が環境教育者としては上であると思っている。彼らのピュアさにはかなわない。



それともう一つ。環境教育は、行政の下であるべきものかどうかはっきり言って疑問である。だってこの地球が背負っている負の遺産は、ほとんどが行政によってもたらされたものだから。現実に、戦争以降の行政によって育成された大人達に、生きる力など備わっていないではないか。こんな屁みたいな不況を乗り切る力すらついていない(ついてる人すみません)。



だから今、民が主体でやるべきなのだ。民も甘えすぎてたでしょ?これからはおんぶで抱っこでなくってちゃんと自分達でやりましょうよ、ちゃんと。