ウッディライフを楽しむ101のヒント


ウッディライフを楽しむ101のヒント

  • 編集 日本林業技術協会
  • 出版 東京書籍(2001/02)
  • 単行本222p
  • サイズ19cm
  • ¥1,470


?T環境・資源・リサイクル(20項)、?U木の性質を知ろう(19項)、?V暮らしの中の木(20項)、?W木に親しむ(21項)、?X木のサイエンス(19項)+参考図書1項の101項となっている。中には液化木材、高圧水蒸気による圧縮成型加工、超臨界乾燥など、専門家でないと理解できないような科学的な話も出てくる。



以下に気に入ったお話を。



【11.木が割れるのは自然の摂理】(岡野健)

「…結局、さまざまな理由が少しずつ働いて、すべての木がほぼ同じ収縮異方性を持っているようです。なぜそんな異方性があるのかといえば、実は丸太を割るためです。割れ目には水が入って分解菌が繁殖し、木は分解して炭素循環が進展します。木が割れるのは自然の摂理なのです…」



【21.木のぬくもり】(森川岳)

「…熱伝導率などの物質量を測定することで木材の接触感を評価する研究が行われている一方で、近年、木材に触れたときの人の血圧、脈拍数、脳血流量といった整理応答を測定することで評価する試みも進められています。無塗装の木材、薄い塗装を施した木材、厚い塗装を施した木材ならびに金属の書く表面を触ったときの整理応答を測定した実験のデータがあります。

ストレス状態において上昇することが知られている血圧は、無塗装の木材への接触で低く安定し、金属では上昇しました。木材への接触は、金属に比べて生体にやさしいことを示しています。脳血流量は、無塗装の木材への接触を続けることで持続的に増加する傾向にありました。これは、木材の感触が面白いため、生態がより多くの情報を得ようとしていることを反映しているものと思われます…」



【51.木の家の快適性】(宮崎良文)

「木の家に入ると、気持ちのよさを感じます。なぜでしょうか。人の体が自然対応用にできており、自然と同調しているからであるというのが、私の仮説です。人は、ヒトとなってからおよそ500万年経つわけですが、その99.996%は自然環境中で過ごしてきました。その過程で、進化を経て今を生きる人となっています。現在に生きる我々は、自然対応用の生理機能を持って、人工環境下に生きているわけです。…実験に共通して見られた興味深い現象があります。それは主観的に「不快」と評価された場合でも、木に由来した刺激の場合は生理的にストレス反応を生じないということです。この現象こそ、人の体は自然対応用にできているという私の仮説を証明するものであると考えています…」